※鬼灯さまがお疲れのようです。



「……」
「…あの。いい加減にしてくれませんか」
「ことわる」


キッパリと言われた。なんでせっかくの休日に胸をもまれねばならんのだ。これってセクハラだよね?うん、そうだねセクシャルハラスメントだね。一応言っておくべきだと思って指摘する。


「鬼灯さま、セクハラですよ」
「いかがわしい目的ではないので該当しません」


しれっと言った。背後からがっちり抱きかかえられているので、逃げようがない。ていうかいかがわしくないのに胸触るって何事だ。


「女性はふしぎだなぁと思いをはせていました」
「はぁ…」
「どうしてさほど太ってもいないのにダイエットしたがるんでしょうね?せっかくの柔らかポイントがへってしまうじゃないですか」
「柔らかポイントってなんだよ」


出会って数千年、未だにこの人の行動はよくわからない。他の女性(お香さん始め)に対しては基本的に紳士な対応をするのに、わたしにだけ事あるごとにボディタッチしてくるのも理解できない。いわゆるそういうことがしたいのかと思って聞いてみても、「いや、そのようなアレは困ります」と言われた。なにが困るんだろう。わたしは別にこのワケワカラン人とあれなことをしても困らないのに。


「あなたはダイエットしちゃダメですよ」
「それはあれですか、わたしがぽっちゃりだって仰りたいんですか」
「いいえ、むしろやせすぎです。ローレル指数でいうとマイナス30以下です」
「わたし大人なんですけど…」


などと中身のない会話をしている間も、むにむにともみしだかれる。手が大きいのをいいことに。指の長いひとは好きだけど、なんか使い方を間違っている気がする。


「鬼灯さまっておっぱいフェチですか?」
「ちちしりふともも全般的にすきですね」


さいですか。


「なまえさんは、ちちしりふとももならどこがいいですか?」
「それは男性で考えたらいいんですか。それとも女性ですか」
「ご随意に」


いや、好きにしたらまずくないか?女性のちちやしりやふとももが好きって、えっわたしそういう趣味だったの?


「いやいやそんなわけない」
「わかりませんよ?あなた自身きづいてないだけで…」
「アンタはわたしをどうしたいんだ」
「もてあましたいです」
「性欲を持て余す。…ハッ」
「間髪入れずどこかのヘビさんをだすあなた、きらいじゃありません」


鬼灯さまは、わたしの肩口に顔をうずめてきた。その際にちゃっかり着物の合わせから手を入れようとしてきたので、さすがに阻止した。


「けち」
「なんですと」
「もういいです。服の上からすきにしてやります」
「してもいいですけど、何があったか話してからにして下さい」
「………」


ほら、黙った。図星だ。


「鬼灯さま、なんかおかしいですよ。普段とは違うおかしさです」
「…さらっと失礼なこといいましたね」
「口調もなんていうか、活字に例えるといつもよりひらがなが多いみたいな感じです」
「例えがわかりにくい」
「要するに腑抜けてるんです。…仕事でお困りなら一緒に相談したいですし、単にお疲れならがんばって癒しますよ」
「…いやすのにがんばるってこれいかに」
「だって、鬼灯さまがどうやったら癒されるのか分かんないんですもん」


拷問させてくれとか言われたらがんばれないけど。痛いのいやだし。


「…なまえさん。私きょうで七徹目なんです」
「お疲れの方なんですね」
「そうです。じぶんでいうのもアレですが、わたし、とってもつかれてます」


胸をもむ手が止まり、体重がかかる。わたしの首筋に顔を伏せたままでしゃべる声はくぐもり、どんどんぐずぐずになっていく。


「わたしは何をすればいいですか?」
「このまま、しばらくあまやかされてください」


甘やかして下さい、の間違いじゃないのか。そう思ったけれど口に出すのはやめておく。余計なことは言わず誠心誠意癒してさし上げるのも、妻の役目だ。


「分かりました。気が済んだら言って下さいね、食堂にごはん食べに行きましょう」
「なまえがつくったのがいい」
「子供か」
「なんとでもお言いなさい」


まったく、今の彼はどうだ。泣く子も黙る閻魔帳第一補佐官さまが、ぐっだぐだの甘えたさんじゃないか。こんな姿見たら閻魔さまもびっくりしすぎて真面目に仕事しちゃうかもしれない。…あ、それはそれでいいな。


「お麩とたまねぎの卵とじ丼がいいです」
「結局わたしが作るのね」
「あれはうまい」 
「そりゃどうも」



――――――――――――――
タイトルはもちろんお胸さまのサイズ。実はお嫁さんでした、というお話。起承転結とかなんにも考えず書いたら鬼灯さまがすっごい誰これ状態に…。一週間寝ないとなにかしらのネジが外れるようです(え)鬼灯の七徹。なーんちゃっ(ティウンティウン

20140716



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