※背中にまつわる小話詰め合わせ。 *背の高い人って(夕神) 「どっせい」 なんの前触れもなく背中に頭突きされた。地味に痛い。 「痛ェ」 だから端的に感想を述べる。後ろを振りかろうとすると、顔の位置を戻された。そしてもう一発。 「わっしょい」 「だから痛ェっての」 一応こっちは上司なんだが。割と野心がある方だとは思ってたが、ついに謀反か? 「謀反違います。単に私の趣味です」 「脳震盪起こしそうだからやめちまえ、そんな趣味」 「長身の男性の背中を見ると、無性に頭突きしたくなるんです」 「される方はいい迷惑だよ」 「というか、迷惑と言いつつ許してくれる夕神さんが好きです」 「………」 「なにゆえ黙る」 「あ、あァ…すまん」 こうやってたまに爆弾を投下してくる彼女が好き、とは決して言うまい。腹いせに頭を撫でてやった。 「照れ屋さん」 「…うるせェ」 *背の低い人って(王泥喜) 「よいしょ」 唐突に、後ろから抱きしめられた。派手にびっくりした。 「ちょっ…!?ななななにしてるんですか!離してください!」 だから端的に要望を伝えた。なのに彼女はこちらにぴったりと頬を押し付けてきて、後ろを振り返るにも出来ない。 「どっこいしょ」 「わああああ!?」 相変わらず色気のない掛け声とともに、更にぎゅうと腕に力がこもる。ついでにすりすりと頬を寄せられて、一気に顔が熱くなった。前からおかしな人だと思ってはいたけど、いよいよ暑さでおかしくなってしまったんだろうか。 「法介は、かわいいね」 「は!?」 「でも耳元で大声出されるのは嫌だね」 「あ、すみません……ってそうじゃなくて!」 「やっぱり、背が小さめの男の人ってぎゅってしたくなるよね」 「喜べばいいんですか、泣けばいいんですか」 「笑えばいいと思うよ」 「どこのシンジ君ですか」 「ていうか法介ヒョロいねぇ。私でも抱っこできそう。わっしょい」 「うわああああおろしてええええ」 でも嫌じゃないのはどうしてでしょうか。 *髪長姫(鬼灯) 「ふと思ったのですが」 「はい」 「髪の長い女性って良いですね」 「はい」 「髪の間からちらっと見える背中が、なんというか扇情的です」 「はい?」 今変なこと言わなかった?この人。うつぶせの体勢から振り返ろうとしたら、頭の位置を戻された。ついでにその指で背中をなぞられる。ざわざわした。 「ぎゃあ」 「もっと色気のある声出せないんですか?…あぁ、もう出ませんか」 「ダメだこの人早くなんとかしないと」 「私はむしろ貴女をナントカしたいですが」 ナントカってなに?聞いたら負けだ。絶対つっこまないぞ、絶対。 「下手に全裸より脱ぎかけの方が艶っぽいのと同じ心理でしょうか?」 「知りませんよ」 「まぁなんにせよ、刺激される眺めであることは確かですね」 「刺激ってなにが」 あ。しまった、聞いちゃった。うっかりにもほどがある。 「なにって…言わせるんですか?」 「いえ結構です」 「仕方のない人ですねぇ」 「言いたいんじゃないですか」 背中から腰に滑る手を止める方法なんて、知らない。 *髪短姫(白澤) 「ふと思ったんだけど」 「うん」 「髪が短めの女の子っていいよね」 「うん」 「毛先がちょっとだけ背中にかかってるのって、なんていうか煽られるよね、色々と」 「うん?」 なんか変なこと言ったなこの人。こういう時は聞き流すに限る。ていうか眠い、腰痛い。猫の抱き枕に顔をうずめて(人によっては精神が削られるデザインらしいけど何でだろう。かわいいのに)目を閉じる。すると、指先で背中を撫でられた。ざわざわするのでやめて欲しい。 「なまえちゃんてば背中きれい。キスしていい?」 「それだけでやめてくれるなら」 「あはー。ごめん、そんなわけない」 「じゃあ駄目です」 「えー」 「てか眠い。いい加減寝かせて」 明日は休みだけど、昼まで寝るのは嫌だ。 「ちぇ」 「かわいくない。却下」 「厳しいなぁ、もう」 楽しげに笑う声がして、背中に頭を乗せてきた。 「じゃ、起きたら一緒にお風呂入るのは?」 ふわふわと髪が触れてくすぐったい。それにちょっと重い。でも退いてもらうのも面倒なので、もうなんでもいいやと目を閉じた。 「背中流してくれるなら…」 「お安い御用だよ」 それだけで止めてくれればいいけど。聞いても約束できないとか言われるのに決まっているので、諦めて寝ることにした。 ―――――――――――――― 背中っていうか後ろ姿が好きです。そして長身の男性って背中に頭突きしたくなりませんか?私だけですか、そうですか。7年前の夕神さんの背中から腰のラインが美しすぎて監視カメラの写真凝視したのは私だけじゃないと信じたい。そして鬼灯様と白澤様も立ち姿綺麗そうだなぁ。鬼灯様は背中に一本柱が通ってるみたいに真っ直ぐな立ち姿だけど、白澤様は曲線というか柳っぽいというかすんなりしてそう(よく分からん)。皆さんの好きな部位はどこですか?それでは、読んで下さってありがとうございます。 20140707 |