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燈瑪はホワイトデーに物はいらないって言った。その代わりに自分に料理を作ってほしい。それが燈瑪が求めたお返しだった。
いつも傍で燈瑪の料理する姿を見てたし今までやれば何でも出来たから初めてでも出来ると思ってたのによ。

「……悪ぃ」


見よう見まねで燈瑪みたいに料理したら見事なまでに失敗した。

「りょ、陵?」

こんな情けない姿を見せた上にお返しになる予定だった晩飯まで見るも無惨に…流石の燈瑪も呆れるかもしれねぇ。
いくら何でも出来ても好きな奴が求めた事すら出来ねぇなんて不甲斐ねぇ。
向ける顔が無くて俯いてると手が伸びてきて優しく頭を撫でた。

「あのさ、失敗しちゃったのは仕方ないって。ほら、失敗は成功の元って言うし!」

「……」

「それに、」

撫でていた手が離れて項垂れてる俺の手をぎゅっと握る。顔を上げたら俺の大好きな笑顔があった。

「料理出来ないのにお願い聞いてくれただけでもすっげぇ嬉しいよ。我儘聞いてくれてありがとう」

「燈瑪…」

何でまともにお返し出来なかったのにそんなに嬉しそうに笑ってくれるんだよ。
それはお前だろ。いつも我儘を聞いてくれてその笑顔と言葉で俺を満たしてくれる。
やっぱ燈瑪が大好きだ。どうしようもないぐらい好きだ。

「来年こそ、ちゃんと作る」

「うんっ。じゃあ明日からちょっとずつ特訓だね」


力一杯抱き締めたら燈瑪も抱き返してくれた。
来年こそは、燈瑪の我儘を聞いてやれる完璧な男になってやる。
だから来年のホワイトデーも俺と一緒に居て下さい。



fin.







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