3 | ナノ
 



充が欲しがったプレゼントは意外だった。
一緒にクリスマスツリーを飾る。
たったそれだけ。
ほんとに変な奴。


「充、セックスしたい」

「えー、もうちょっとこのままツリーを眺めようよ。愛嘉ちゃんと俺の愛の共同作業だよー?」

「……」

押し倒せばその気になるかと思ったけどダメか。
上に跨がって見下ろすとクリスマスツリーの電飾で照らされた顔は幸せそうだった。
何でそんなに嬉しそうに笑ってんの。
たかが一緒にツリー飾っただけなのに。


「愛嘉ちゃん、楽しかった?」

「……」

「良かった」

頷くとだらしない笑顔を浮かべて優しくほっぺを撫でてくる。
指先が冷たいけどその体温が気持ち良い。
ツリーを飾っただけなのに楽しかった。
綺麗に飾られてくツリーに嬉しくなった。

「愛嘉ちゃん、セックスも良いけどさ、こういう恋人っぽい事もしていこうね?俺がいろんな楽しみを教えるからさ」

「それは充も楽しい?」

「楽しいよー。愛嘉ちゃんと一緒だもん!愛嘉ちゃんと一緒なら何でも楽しいしすっごく幸せ」


付き合い始めてから俺は変だ。
充以上に変。
充が嬉しそうに笑うだけで顔が熱くなる。

「バカ」

「愛嘉ちゃん真っ赤…かぁいいなぁ」

「んっ、ぅ…」

抱き寄せられて顔中にいくつもキスを落とされてく。
たかがそれだけなのにドキドキして、どうしようもないぐらい嬉しくなるなんて。

「愛嘉ちゃん、本当に可愛いなぁ…セックスする?」

「…もうちょっと、このまま…」

「そうだね、ツリー眺めてよっか」

充に体重を預けてツリーを眺める。
心なしかさっきよりも綺麗に感じる。
本当に変だ俺。
充に毒されちゃったんだ。

「愛嘉ちゃん、ほんと好き。愛してる」

「俺も、愛してる」


セックスするよりも充に抱き締めててほしいって思う日が来るなんて。



fin.







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