暑いのはいつまでも暑い
どんなに時間が経とうと暑い
脳裏を焦がす様に、夏の温度が忘れられない
「よぉ?…名前元気か?
なんてな、死んだ奴に元気もクソもねぇーよな」
墓標に水をかける、そうすると石の表面の温度が下がっていく。
石を触ってみると、掌からじんわりとした熱さを感じる
「どいう理由でお前が死んだのか俺はわからない」
自殺した、それだけだった。
なんで自殺したのかもわからないまんま、俺の目の前で死んだ
飛び降りて、自殺した。
「泣かなかったのは俺だけだった。みんな泣いていた」
俺って薄情だよな
自分でも薄情だと思った、みんなになんで泣かないのなんて聞かれた
泣かないんじゃない
もう泣けないのだ
「お前が死んで真っ先に泣いたのは、俺だったな」
涙はもう枯れてしまってなにもでない
手を伸ばしても、ふわりっと笑って落ちていく
「お前のこと何もわかんなかった、理解しようなんて思いもしなかった
だから、もう俺は・・・」
誰も好きにならないよ
はっきりと名前という文字が書かれいる彫りの周りを触る
冷たくなった石がじめじめとした暑さを今だけ忘れることが出来た