第0幕

1月1日、
どの世界も新しい年を迎えるめでたい日。
ここの世界も例に漏れず、新な一年を迎え、世界は祝う声に溢れていた。

その中でも一際賑わい溢れるのは、
世界を納めるお釈迦様の御処である寺院。

「お釈迦様、晩年は大変お世話になりました。今年度も宜しくお願い致します。」

東西南北 近隣はたまた遥々遠方から、このめでたい日を無事に迎えられた感謝を始め、晩年の子宝、豊作と多種多様な恵みへの感謝を、今年の変わらぬ安寧と僅かばかりの繁栄の願いを込め、新年の挨拶をお釈迦様に伝えたいと、あらゆる生命が老若男女問わずこの地に足を運ぶ。

お釈迦様も、とてもじゃないがひとりひとりの声を聞いて居られない数が集う。其こそ何処ぞのテーマパークなら最後尾20160分待ちです☆とでも付く数である。さすがのお釈迦様もノイローゼ待ったなしだ。
民の声に耳を傾けてたらノイローゼになりました。などテヘペロで済む話ではない、民に顔向けが出来なくなる。
民に慕われてこそのお釈迦である。民の前ではかっこよくありたいのだ。
それにお釈迦のテヘペロなど視覚的暴力もいいところだ。
倒れられても困るお釈迦は1人しか居ない。貴重なお釈迦様はなのだ。

そんなこんなで礼拝堂にて伝えてくれれば全て聴こえていますよという定を取って、お釈迦様は奥社で絶賛、コタツムリと化してる。お釈迦も駄目にする炬燵。炬燵恐るべし。


話が脱線してるうちに御釈迦様が何か思い付かれたようだ。
きっとろくでもない素晴らしい事に違いない。

『お釈迦、創世から年中無休じゃん?お釈迦だってお休み欲しいのよ?だからお釈迦考えたんだけどー』

話し方からして、駄目さが滲み出ている。これでもこの世界で一番偉くて凄いのだ。嘆かわしい限りである。

『来年から1年交代で納めてくれる者12名探して12年で1周なら負担少ないだろうし、時と同じ周期なら多分交代忘れたりしないはずだし、お釈迦は補佐に回って行く行くは隠居したいなーって』

多分ってなんだ。全く駄目なお釈迦である。炬燵のせいではなく元が駄目だったようだ。嘆かわしい限りである。
そもそも急な思い付きで、参加者は募るのか選考基準は如何するのか。その辺考えているのかこのお釈迦様は。

『選考会するのも面倒だし、東の端を明日1月2日スタートして翌年1月1日の日出までに寺院の門を潜った順で12名ってことで方々に便り出しといた。』

確定事項、しかも急ときた。中止にしたらより混乱を招く事案だ。思い付きなど温いものではなく計画的犯行だったのか。其ほど休みたいのであろか全く駄目なお釈迦である。嘆かわしい限りだ。
ルールも適当だがもう仕方ないこの世界は嘆かわしいがお釈迦様がルールだ。

かくして、


ーお釈迦様の思い付き(計画的犯行)により、幕を開けた1年のリーダーを決めるレース。

お釈迦の言葉に唆され踊らされる哀れな参加者は果たして、ゴールの先に何を望むのか。ー


そんなとある世界の、とある新年の物語。



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