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素敵opening(てぃーな様)
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オフののどかな昼下がり。
僕はコンビニスイーツを鼻歌まじりに選んでいた。

昨日の夜は豪炎寺くんといちゃいちゃして……朝起きてからもしばらく甘えて……

ゆっくり起きて彼の作ったブランチでお腹いっぱいになって。

ちょっと散歩がてらおやつを買いに来てたんだ。それと…


「あ、そうだ…」

たしか今日はannanの発売日。
今週号は豪炎寺くんの特集記事が載ってるはずだった。

女の子の雑誌は僕とか風丸くんの出番が多いからannanっていうと載るのは僕のイメージなんだけど……だから彼が名指しでオファーを受けたって聞いた時…珍しいな、って思ったんだよね〜

ふふ…豪炎寺くんもついにannanデビューかぁ。
インタビューって…多分恋の話だよね。
彼のことだから、あんまりしゃべってなさそうだけど…

目当てのお菓子を手にしてふらりと雑誌の陳列棚に歩いて行き…

先輩風を吹かせ余裕の面持ちだった僕の表情が、そこで瞬時に凍り付いた。

…………何…これ…………?

雑誌の陳列棚をほぼジャックしてる
annan。

それだけじゃない。
僕はその正面で表紙に釘付けになっていた。

…何で…ヌード…?
辛うじて僕の大事な……っじゃなくて彼の大事なところは隠れてるけど……
男の色気が………まったく隠せてなくて魅力的すぎる!!

その時すでに僕の周囲の温度はきっと氷点下だったに違いない。

表情も凍りついていて怖かったらしく……。

「すっ……すみません!!」
『少年ヂャンプ 』を手に取ろうと一瞬視界を遮った学ランの青年と目が合った時……彼がビクッ!!として「ひっ…」と悲鳴をあげた言動がそれを物語っていた。


そしてさらに……緊急事態発生!!

自動ドア辺りから接近してくる、゙大いなる危機゙に気づいた僕は―――

「すみません…これくださいっ!」
「………は?」
「は、早くっ、お願いします」

「あの……袋お分けしましょうか?」
「ゼンゼン大丈夫ですっ!!あっもうそのままでっ」

狼狽え気味の店員さんに代金を差し出して、代わりに雑誌を詰め込んだ数袋のコンビニ袋を取り上げるようにして、その場を後にする。


………ふぅ。危なかった〜

でも帰り際雑誌棚の前ですれ違った
女子高生たちの会話が頭の中を
まだリフレインしている。

『え〜まじ?ここにもannanないし』
『超ショックぅ。修也のハダカの人気ヤバすぎ〜』
『もうこ〜なったらどうしても見たいぃ!他どこに店あったっけ?』

ってダメダメダメダメ―――っ!
豪炎寺くんのハダカは誰にも見せたくないっっ!

でも………

さっきの女の子たち
前の店でも売り切れって言ってたし。今のコンビニでも棚が空いてる場所があった…………

やだよ!
もう誰かの手に渡ってお持ち帰りされてしまってるってこと??

そして誰かの部屋のソファーやベッドでうっとり見つめられて……

あの特集タイトルの『燃えるようなセックス』と彼の鍛練された肉体美の写真を頭の中で並べて、ヘンな気持ちになっちゃう女の子だっているかもしれない。

もう…これは大事件だ。
豪炎寺くん……浮気と見なされても言い訳できないよ!!
ゼッタイにゆるさないからね!!

僕は買い占めた雑誌のコンビニ袋の柄を握りしめ、彼と棲む自宅へとツカツカと足を早めた。





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