*嘔吐あり

















「う"ぇ、……っぐ、んえぇ……っ」

開いた口から息継ぐ間もなく吐瀉物が落ちる。便器に落ちたそれらのせいで水が跳ね返って顔に当たるのが不快でしょうがない。
区切りがついたところで空気を吸う。吸い過ぎて噎せた。
家の中は一人きりだ。家族は出かけ、自分だけが狭いトイレで汚く吐いている。惨めで、愚かで、哀れ。自分に抱く感情はそんなものだ。

「……あっれ、」

ぽたり、とズボンに何かが落ちた。ぱたぱたと続いて目から落ちるそれらを必死に手で拭う。

「なん、っもう、泣きたくねーのに……」

言葉とは裏腹に涙は次々と落ち、流れを作る。呼吸がうまくいかなくて苦しくなり、また吐いた。口内に溢れる酸がキツい。
もうやめたいのに。考えたくなんかないのに。なのにどうして、

「忘れられないんだよ……っ」
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