四十影次
かつん、とダーツ盤にダーツの矢が刺すのを四十万は何処か客観的に行っていた。
ど真ん中に当たった矢、逸れて壁に当たり矢が折れても、別に惜しいとも喜びも感じ無い。ただ淡々と矢を投げて当てる作業。
「お前はロボットかよ」
「…こんにちは写楽さん」
そんな作業を妨害するように、蹴り開けられたドアから入って来た写楽影次朗はにこりと爽やかな笑顔を向けて挨拶をする四十万に舌打ちをした。
「いい加減此処から出ろ」
「心配してくれてるんですか」
「いや全く、俺が面倒臭いから出ろ」
「ハッキリ言いますね」
ヘヴンスレイブが無くなってダラーズに入った今、四十万には此処は意味の無い場所になったのだ。だからこそ写楽は出ろと四十万に何日にも渡って言い続けている。
「いい加減にズルズル引きずるのを止めろよテメェ、うざい女々しい」
「そろそろ傷つきますよ」
「嘘だろ」
遠慮の無い言葉に苦笑いを返す四十万に写楽はまた一切の遠慮無く言い続ける。それでも四十万の顔は崩れずに写楽と相対する。
「此処に意味は無い」
「それは僕が決めます」
「テメェが一番分かってるだろ」
「分かりませんよ!」
突然声を荒げた四十万は写楽を睨む。そんな四十万を見ながら写楽はため息を付きながら面倒臭いと小さく零した。
「いい加減出ろ」
「出ません」
「テメェなぁ…」
万策尽きたと言わんばかりに顔をしかめる写楽に四十万は近付いてまた出ませんと独り言のように言った。
「あんなチームに片思いしてどうするんだよ…」
「何が分かるんですか」
「何にも、ただテメェが馬鹿って事だけだ」
写楽はそれだけを言い残して蹴り開けたドアから出て行った。
「…分かってますよ」
四十万が言い放った言葉は空気中に霧散した。
どうしようも無い
あとがき
+に限りなく近くなりました。
チームに片思いする四十万と嫌々ながらも四十万を出そうとする影次朗さん