六門
※10巻ネタバレ



白い。ただ白い。
夏の日に白を見ると目が焼ける感覚になる。チカチカして、反射して、それに慣れない。
死んだ人の棺に溢れる白い花を連想する。
ああ、そういえば。よく死体の顔は加工されていると聞く。微笑むように、
カツ、と爪が壁に当たる。

(門田…、)

蝉が泣く。
ミワミワ五月蝿く、七日間キッチリ泣いて死骸になる。
来良総合病院に来るまでに何匹かの蝉の死骸を見た。
アリにたかられて、誰かに踏み潰されて、原形のままで。
泣く泣く、泣く。
ミワミワミワミワ。

(門田、門田門田…、)

泣く泣く泣く泣く。
途中でリハビリ中の子供が駄々をこねて泣いている。
痛い、したくない、歩けない。
外から聞こえる蝉の声と被る。
泣いている、

(門田門田門田、門田っ!)

誰が泣いている?

(かどた、)

帽子を深く被る。
目を閉じる。
ハニー達みたいに柔らかくないし、可愛いじゃなくて格好良い。喧嘩も強くて庇護欲煽る訳じゃない。
けれど、身を焦がす程のこの想い。重い想い。
胸を圧迫させて、心と感情が直結する。
好きだ、好きだ。
泣く泣く泣く泣く、泣く、泣く…。

(殺してやる)

すぅ、と段々殺意が湧き出てくる。
傷付けた奴は、許さない。
殺してやる、と心が言う。殺してやる、と愛が言う。
泣いても喚いても、原形が無くなるほどに壊して殺してやる。
腹を裂いて、内部を火で炙って、全部引きずり出して、轢き殺そう。その後線路に落としてやろう。

「ろっちー?」
「ん?どうしたのハニー」

女の子達が不思議そうな顔で俺を見ている。

「泣いてるの?」
「え?笑ってない?」
「いや、怒ってるんでしょ?」

ハニー達が俺の表情について軽い口論をし始める。
泣いてる?笑ってる?怒ってる?
全部だよ。全部。

「殺気立ってるんでしょ?」

うん、そうだね。
ノンの言葉に頷いて、門田の病室へ急ぐ。
泣く泣く、泣く。
誰が?
俺が、

「殺してやる」

狂気を持って。
凶器を持って。
狂喜を持って。
叩き潰して見せましょう。




キョウキを持って、




___
内心すごく怒ってるんじゃないかな、と思った結果、こうなった。
ろっちーお帰り!
これから最低後二巻は出るんだね!

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