空→折
※短い



「僕がもし貴方を好きと言ったら、貴方は何と言いますか」

ニコリと、彼にしては珍しいぎこちなくない笑顔で言った言葉にカチリと固まってしまった。顔が強張っている気がする。

「スカイハイさん?」

すぅ、と猫の様に細められた紫の目がいつもの彼とは違うと示していた。相変わらず口元に笑みを宿したまま、彼は、はいどうぞとタオルを渡してきた。
ありがとうと一応言えたが喉がカラカラに渇いて、奥の方で喉が張り付いている気がする。
伝う冷や汗にゾワゾワと鳥肌が立ち、首を軽く振った。

「好きなんですか?」

彼の顔が近くにある。
私は立ったまま、彼は、浮いている。まるで風に乗っている様にフワフワと浮いて私を見ていた。
ふ、と不思議の国のアリスを思い出した。チェシャ猫みたいだと声に出す。彼は一瞬目を見開いてからニヤリと笑った。
酷く似合わない。
夢だこれは、じゃなきゃ彼は浮かない。じゃなきゃ彼はこんな笑い方をしない。じゃなきゃ彼はこんな事を問わない。じゃなきゃ彼とはこんなに近付けない。

「随分都合が良かった悪夢だ」

彼がまた綺麗に笑った途端、けたたましいアラームの音に目が覚めた。

「今日は、イワン君と合わせる顔が無いな」

起き上がり、コーヒーを入れながら思い出した様に呟くと、彼のニヤリとした笑顔を思い出した。




悪夢が正夢になれと願う




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空→折紙!
…多分ね
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