折紙+虎
※学パロ?
※折紙が弓道部



顔を的に向けたまま左足を的に向かい半歩踏み開き、次に右足を一旦左足に引きつけて右外側へ扇のような軌道を取りつつ踏み開く。
この瞬間が一番綺麗だと、親友が笑いながら言っていたのを一瞬思い出した。
的に全神経を集中させ、キリッと弓を引き絞った。
射るとシュンッと矢が空気を裂いて、次いで的に、っーズバンッと心地好い音が響いた。
そこでやっと息を付き、緩んだ糸のせいでふにゃふにゃと顔が緩んでしまった。
ど真ん中に刺さった矢にまた顔が緩む。

「おー、やってんなー」
「虎徹殿」

不意に掛けられた声に振り返れば、虎徹殿がふあぁと欠伸をしながら入ってくる所だった。
おー、とむにゃむにゃした声で答えた虎徹殿は近くに胡座をかいて座り、続けて良いと促した。

「いえ、もう十分ですから座禅しときます」
「うー、真面目なー…!てか今何時ー」
「6時ですね」

真面目、の言葉に苦笑いが顔に張り付く。持って来た時計を見て答えれば、やっぱりズレてるなと備え付けの時計を見て虎徹殿が呻いた。
古い時計はかちこちと規則正しい音を立てているが、確かにテンポが遅いと思う。

「買い替えですか」
「だな。それか修理だなー、斎藤さんに頼もっかなー」
「それは…」

いつも機械を弄っている斎藤先生を思い浮かべてから古い時計を見る。原型が無くなる程改良改善されそうだな、と複雑な気持ちで思った。
それを悟られたのか虎徹殿が苦笑いしながら、駄目だなっと言った。
大分僕と似たような思いなんだろうと気遣いでは無い事を感じ取り、僕も苦笑いを返した。

「うぅ、そろそろ行くわ。バニーちゃんに叱られちゃうしな」
「生徒会長って朝早いんですね」
「いや、俺が同伴で泊まり。熱心な生徒会長様だよねー、おじさんが手伝われちゃったよ」
「ではバニー殿に無理をなさらない様伝えて下さい」
「しかとお伝え申す!…ってなー」

虎徹殿は意図的に作った真面目な顔で堅い言葉を言い、一気に笑顔に崩した。ひらひらと手を振り、引き戸の奥に消えていった虎徹殿に一礼した。

(良い天気、だなぁ)

さっきまで虎徹殿が座っていた場所にねっころがり、見えた空の淡い水色と何処を見ても見当たらない雲に息が漏れた。
その姿勢のまま猫に擬態し、浅い眠りに全神経を委ねる事にした。

(あの人みたいな不真面目さも、必要かもなぁ)

誰かをイメージした虎縞の猫。
その姿を意識して、思わずくすりと笑うと、口からニャアと声が出た。




必要なだけ捕まえる雲




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イワン君って剣道茶華道弓道と引っ張り蛸になってそうだ。
そういう部活動の時だけ〇〇殿とか堅い言い回しをしそう。
って授業中ずっと考えていた。
弓道についてはよく分かってません
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