折紙+空
※正しく801



タンッと床を蹴る音と空中でクルリと回った身体。ビュッと鋭い蹴りが空を蹴り、またタンッと床を蹴る音。

「なんだか舞みたいだ」
「え?ってあぶなっ!」

急に声を掛けたからかバランスを崩し、こちらに向かって蹴りを放つイワン君に、こちらは風を放った。イワン君の身体が更に舞い上がる。
数秒使ってイワン君は器用にバランスを取り直し、壁を蹴って床に着地をした。

「済まない、そして済まない!」
「いえ、僕こそ。…で何の話でしたっけ」
「嗚呼!さっきの君の動きが舞みたいだなと思ってね!」
「舞にしてはちょっと早いと思いますよ」

何処から取ったのか、スポーツドリンクを持って苦笑いするイワン君に、やっぱり忍者だなあと再確認した。
そういうキャラだとは言え、あんなに高く飛んだり手裏剣を扱ったりするのは、かなり難しいだろうに、それをしている。
一回私も手裏剣をやらせてもらったが無理だった。

「……イワン君、手合わせしないか?」
「え?あ、はい、良いですよ。相手にならないと思いますが」
「よし!手加減無用だ!」

寛いでいたタイガー君を捕まえて審判をしてもらう。なんだなんだと他の仲間達も集まってきて、結構本格的な手合わせになってしまった。イワン君は少し青ざめた顔で、どうしようと呟いていた。

「まあまあ、ただの手合わせだよ!」
「はぁ…」
「おーい、始めるぞー!」
「嗚呼!分かった!」

「ほい、はじめっ!」とタイガー君の声でダンッと思いっ切り床を蹴ったイワン君に習い、風を起こしてイワン君に投げるが壁を蹴って避けられ、手裏剣が投げられる。風でバリアを作って弾き返すと、手裏剣を空中で回収し、また投げてきた。
また回収されるのは困るなと今度は避けるが、その隙に目の前まで近付かれて思わず後ろに飛ぶ。飛んだ瞬間、さっきまで立っていた場所に手裏剣が刺さり、自分の判断にホッと息をついた。

「っー!」

が、鼻先に蹴りが掠り、風を使ってイワン君の後ろに飛んで間合いを取った。

「強いね…」
「スーツじゃあんまり動けないから意味無いんですがね」
「そうかな、スーツがあっても動けると思うよ?」
「買い被りすぎ、と言って置きます」

またイワン君が床を蹴る。真っ直ぐに来ると思ったが、真後ろに飛んで更に距離を取られ、風を送るタイミングを誤った。
後ろに飛んで、壁を蹴り、私から2、3メートルの距離に降り、また床を蹴る。
さっきの舞みたいだなと思い、風でバランスを崩させるが、その前に目の前に立ち、また蹴りを放ってくる。それを受け流し、風を作るとイワン君は背中に手を入れて小刀を一気に引き抜き、思いっ切り踏み込んできた。

「何処が相手にならないのか、私には分からないな」
「あはは、引き分けですね」

首に当てられた小刀の冷たさに息を詰まらせる。
イワン君の腹に風を作って置いた手が触れるギリギリで止まらせていた。少し思えば彼はあっという間に吹っ飛ぶだろう。
正しく引き分け。

「…え、これどう審判すんの?引き分けで良いの?」
「イワンイワン!僕!僕とも手合わせ!」
「イワン強かったんだな」

周りからの言葉に苦笑いするイワン君を見て、違和感を感じる。
さっきの手合わせ中に見せた綺麗な程の楽しそうな笑顔が網膜に焼き付いてしまったからかもしれない。
暫くじっとイワン君を見ていると、イワン君が不意にこちらを向き、無邪気に笑って見せたので、こちらもお返しに笑っておいた。

「また手合わせしてください」
「嗚呼!勿論だ!」

発覚した相手の強さと薄くなった壁に私は少しばかりの幸福感を感じた。




見てみてみましょう




___
KOHに匹敵する強さとかね!
ついイワン君の戦闘を妄想してまう…!だって強そうじゃないか意外と!流石にチートバリアより強くは無いと思うけどね
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