死ぬまで君と笑っていたい

 







「それでね……」





なんともうれしそうに今日の出来事を話すアンを向かい合わせに膝の上に乗せて、話を聞いてやる。

これが最近の俺の日課。








「私がクロードに似てきたって、ジルがこんな顔して言うから」





「はははっ」







すぐ目の前にあるアンの顔が、眉間に皺を寄せてジルの真似をしてみせる。

それがすごくおかしくて、思わず声を出して笑った。







「クロード、笑いすぎ」






笑いながら眉を顰めてそう言ってくるアンが、愛しくて仕方ない。

俺の惚れ具合も相当なもんだ。







「悪い、あまりにも似すぎてるから」





「その程度では、貴方は私に勝てませんよ」





「アン、やめろ、腹痛いよ」







ジルの真似を続けるアンに、涙が出るほど笑った。









何でもない会話だけど、腹の底から笑えるって、なんて幸せなんだ。

お前に出逢えなかったら、きっと俺は今もこんな風に笑えていなかっただろう。

こんな幸せを知らずに生きていたのだろう。

お前がいなきゃ、生きてる意味も見い出せなかったはずだ。









「アン」





「ん?」







不意にアンをぎゅっと抱きしめた。








「クロード…?」







「明日も明後日も…そばにいろよ」








耳元で囁く声が、少し掠れてしまう。












「死ぬまでそばにいろ」












突然の言葉にアンは少し戸惑いながらも、俺の背中に手を回して、その小さな手がシャツをきゅっと掴んだ。











「……離れろって言うほうが無理」











アンの言葉に、ふっと笑みをこぼした。


俺と同じように少し掠れたアンの声が、耳をくすぐる。









「クロードに似てきちゃった私は、クロード以外の手に負えないでしょ?」






「ははは。そうだな」









これから先もずっと、こうやって俺を笑わせてくれ。

その分、いや、それ以上に俺はお前を笑顔にしてやれるように…嫌って言うほど、愛してやる。











「愛してるよ」





「私も」








触れ合った唇から、この想いが伝わるなら…





お前のそばで、笑っていたい。

そう、死ぬまで、ずっと、ずっと。







-END-

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