04


「っ…!」

何処で覚えてきたのかとトキヤの頭は一瞬にて真っ白になった。
まさか“あの”真斗がそんなことをするとは思わなかったのだ。
ぱくりと咥えられたそれは、トキヤの表情をよそに狂喜していた。
真斗の控え目にあけられた口になど収まらないほど大きくなり、固くなっていく。

「んっ、おおきい、な…」
「そんなの、どこで…学んだの、ですか」
「学ぶ…?」
「…じゃあ、どうして、」
「なぜかわからないけれど…いとしく、みえたのだ」

そう言って真斗はゆっくり陰茎を持ち上げ、そっとキスをした。
その光景だけでもトキヤはもう果ててしまいそうだったけれど…こぶしを握って我慢した。
これは恐らく一生にまたとないことだろうから、今十分に堪能しておかなければ。
強くそう思ったのだ。
それを勃起させているトキヤ自身から見ても、陰茎は決して愛しい容姿はしていないと思う。
どちらかといえば、グロテスクの域に入るのでは?と思うくらいいきり立ったそれは赤黒い。
あまり直視したくないトキヤが薄眼で見てもどくどくと血液が通っているのが分かった。
真っ赤な舌を控え目に出して、トキヤのそれを丁寧に舐めていく真斗。
鬼頭からはカウパーがこぼれて、苦いはずなのに、真斗は恍惚とした表情を浮かべている。
真斗と付き合っているのでは、と錯覚するほどに丁寧な愛撫に、トキヤは思わず泣きそうになった。
…あぁ、幸せだ。
あんなに胸を包んでいたはずの不安が、溶けてなくなっていくようだった。

「聖川さんっ、もっと、深く、咥えて」
「こ、こうか…?」
「もっと、もっと、強くして、いいですよ…あなたの、好きなように、して」

トキヤは最早真斗になら、どんなことをされてもいいと思えた。
真斗は言われたとおり、陰茎を深く銜え込んでくれる。
指示を仰ぐ際に上目遣いになってトキヤを見上げてくるのがまた堪らない。
色っぽい泣き黒子が、ちらちらと視界に入る。
そして真斗のまだ下手くそなスロートがもどかしく、…それでいて心地よかった。
腰を振って、喉の奥まで差し込んでしまいたい衝動に駆られる。
あなたのすべてを、私に。
そんなことを思わず口走りそうになってトキヤは苦笑した。
人はひとつを手に入れると、途端に贅沢になっていく。
まったく、と小さく口にいて、そっと真斗の髪を撫でた。
いつもはもっと高いところにあるため見ることの出来ないつむじを見つめながら、何度も髪を梳いていく。
真斗はトキヤに少しでも悦くなって欲しくて、何度も何度も頭を動かした。
本当にこれで気持ちがいいのだろうか、と疑問を抱き、今までと同様に動きながら舌で先端をつついてみる。
トキヤの澄ました表情がびくんと歪んだ。
そうか、これがいいんだな。
経験をして学んだ真斗は、その方法を取りながら考えていた。
まさか成り行きでこんなことをしてしまうとは思っていなかったのだ。
トキヤのことが好きで、それでも同性の上恋愛禁止の学校にいるからと思い、口にはしなかった。
しかし、トキヤに今夜偶然会って、部屋に誘われた時は悪い気持ちはしなかった。
一ノ瀬と一緒に寝られるのか、とうれしかったのも事実だ。
トキヤが自分を押し倒し、この行為に入った時も…口先では抵抗していたけれど、どこかで望んでいたのかもしれない。
自分はとんだ淫乱じゃないか、と考えていて恥ずかしくなった。
トキヤが自分のしたことで良くなって、射精してくれたら嬉しい。
そう思って、真斗は無我夢中でそれをしゃぶり、ちゅう、と吸い上げた。

「あっ、あ…!」

瞬間、限界に限りなく近かったのだろう。
トキヤの眉間に皺が寄って、腰を突き上げられた。
喉の奥に当たって咽そうになった真斗の口腔にびゅるると吐き出された苦く青臭いもの。
咳き込み、吐き出そうとした真斗だったが、やっとの思いでそれを呑みこんだ。
後味は悪く、口の中はべとべととして最悪の飲み心地だ。
それでも、不思議な満足感があった。

「飲んで、くれたの、ですか…」
「……あぁ…」
「ありがとう、聖川さん」

真斗は緊張が解けたのか、トキヤの胸へもたれかかってくる。
口の端から唾液が伝い、いつの間にか羞恥で溢れていたらしい涙が頬を伝っている。
そんなあまりに卑猥な姿のまま、安心した表情で意識を落としていた。
本当に体が触れ合い、不安を埋められれば眠れるのだ、とトキヤはうれしくなる。
自分もとても眠くなったものの、さすがにそのままにはしておけないと温かく濡らしたタオルで簡単に双方の体を拭いた。
そして自分のベッドを整えなおしてから、腕枕に真斗の頭をそっと乗せる。
流れる穏やかな時が、トキヤの心にやさしさと安心をくれる。
これからも、やはり、ずっと、彼とこうしていたい。
真斗は絶対に自分に必要な人間だと思えたのだ。
最低なことをしてしまったことは理解しているため、マイナスからのスタートでもいい。
明日の朝、告げよう。
「ごめんなさい。聖川さん…。……でも私、貴方がすきですよ」

I'm sorry.

(貴方といると私はね)
(とても温かな気持ちになれるのです)

***
玲子様へ!
リクエストありがとうございました…!
一番乗りでしたのでとても嬉しかったです。
小説が好きなんてそんなそんな!とてもうれしいです!
私もトキマサ大好きですよ…!正直、トキマサのほうが書きやすいです!笑
ちょっと裏が弱くて本当に申し訳ないです…!
私、裏大好きなんですけど、本番を書くのが下手なんです!←
前儀で盛り上がりすぎてしまっていつも尻すぼみになってしまうので、突っ込まなくても(言葉が悪くてごめんなさい!)満足して頂けるくらい卑猥にしようと思いました笑
AMNESIAありがとうございます!
ちょっと反応がどうなのかなぁ…と気になっていたところだったのでうれしかったです!
これからもがんばりますのでまた見に来ていただければ幸いです!
お待ちしております…!!
この度はリクエストありがとうございました!!

2014.05.21
桜子


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