03


「ひ、…っ、ん、あ…っ、んん、あー…」
「舌を絡めているだけで、気持ちいいですか?」
「い、ちのせ、」
「吐息、熱いですね」

とろんと蕩けた目を向けられて、トキヤも思わず欲情し、無我夢中で舌を絡めた。
お互いが興奮しだしたからか、唾液に粘度が出てぬるぬるとした感触がたまらなく気持ちがいい。
何も考えず、頭を真っ白にして、獣のように唇を交わす。
ベッドのスプリングが頻繁に軋み、ぎしぎしと音を立てた。
先ほどまで音也が起きないようにと二人で声を潜めていたのがウソのようだ。
長いキスの後に、どろどろに蕩けた表情で息を深く吸い込む真斗がとても美しく見えて、トキヤは何度もそれを繰り返した。
唇を離せば、銀色の糸が今まで繋がっていたことの証のように二人を繋ぐ。
唇を離した時の真斗は、呼吸が上手に出来ず苦しそうなのに…それでいてどこか、物足りないといった物欲しそうな顔をする。
それがトキヤは堪らなく好きになった。

「聖川さん?あなた…おおきく、したりして」
「っ、これは…!」
「大丈夫。分かっていますよ、私だって、ほら」

トキヤの指摘に、真斗の顔が真っ赤になる。
自分の体に起こった未知の現実に、どうしたらよいかわからないのだろう。
そんなところも愛しく思い、トキヤは真斗の手を自らの股間へ誘った。
真斗の手が熱く、固くなっているその場所を触る。
思わずトキヤは小さく息を呑んだ。
真斗はきっと手を引いて、自分へ散々な言葉を吐くのだろうと思ったのだが、どうやらそういうわけでもない。
ちらりと真斗のほうを向けば、顔を真っ赤にしながら硬直しているようだった。

「あの、聖川さ、…んっ!」

何かをじっと考え込んでいた真斗だったが、トキヤに声をかけられたことではっとした表情になり、手を緩く動かして服の上からそこを撫でるではないか。
まさか真斗が自らそんなことをするとは思っておらず、トキヤが慌ててしまう。
真斗は俯いていてあまりよく表情が見えない。
それでも、耳まで真っ赤になっているのは分かった。
やわやわと慣れない手つきで撫でられていると、トキヤのそれは容赦なく大きくなっていく。
真斗のそれも熱を持ち、グレーの下着にシミを作っていた。

「聖川さん、辛くはないですか」
「っ、…ん」
「ありがとう、貴方の気持ちは伝わりましたよ」

トキヤはにこりと笑って真斗の下着をそっと引きずりおろした。
既にそれなりの角度をつけて上を向いているそれが愛しくなり、トキヤはそっと手に握る。
触れられただけで体をびくりと震わせた真斗に、トキヤは興奮した。
そこからはもう、いつもの彼らではなかった。
トキヤも身にまとっていた寝具を適当に脱ぎ捨てて、お互いの陰茎を握り合い、上下に擦り合う。
真斗は自分の快楽へ流されがちなのか、たまに手が疎かになるが、そのたびにトキヤが耳元でもっと、と囁いてやればまた躊躇いがちに手が動かされた。
トキヤはそれこそ、真斗が自らの手で気持ち良くなっていることに気分を良くしているので、手を動かし続ける。
先走りで動作もかなり滑らかになった。
皮をずるずると動かし、中から出てきた薄い桜色の先端を親指でくるりと円を描くように刺激する。

「っ、あ!」
「刺激、強すぎましたか?」

真斗の声が一段と大きく、高くなったのを聞いて、トキヤは微笑む。
真斗が必死で頷き、もう少し優しくゆっくりしてくれと回らない舌で懇願してきた。
まさかそんなものを聞き入れる余裕があるはずもなく、トキヤは親指の腹でぐるぐるとそこを引っ掻き回す。
すると真斗の爪がトキヤの肩に食い込んだ。
視線をやれば、必死な顔をしてトキヤにしがみついている。
強い快楽に、必死で耐えているようだった。
それでもひっきりなしに漏らす、あぁ、あっという嬌声のせいで、口はだらしがなく開いたままだ。

「あ、…っ、ひっ、や、あぁあ、っで、る!一ノ瀬、あ、…や!」
「いいですよ、出してください…!」
「や、あぁあ、あー…っ…!」

ぐずぐずになりながらトキヤに抱き着いた真斗を見て満足げに微笑み、トキヤは陰茎を強く握った。
そして力を緩めれば、真斗の固く猛り立ったそれがびくびくと情けなく痙攣し、白濁とした液体を飛ばす。
イってからも、暫くびくびくと体を震わせて残った液体を体外へ叩き付ける真斗の姿を見ていると、トキヤも酷く興奮した。
あぁ、自分が真斗を満たしたのだ、と不思議な満足感でいっぱいになる。

「ダメだと、言った、のに」
「でも、気持ちがよかったでしょう?」
「いちのせ、のは、」
「あぁ、これは…まぁ、自分でも…っ、あの、聖川、さん!」

真斗の満足そうな表情を見れただけで満足。
まぁ自分のそれはトイレなり風呂場なりで処理しようと思っていたトキヤだったが、あろうことかぱくりと真斗がそれを口に含んだのだ。



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