私の彼氏は暗殺を生業としている王子様だ。何とも不思議な組み合わせな故、誰かに話しでもしたら頭を疑われるだろう。しかし此処までは信じない人がいないとは言い切れない。世界中探せば何人かは首を縦に振ってくれるはず。
しかしこれはどうだろう。
私は今、未来の世界に飛ばされている。
百年告白
「げほっ…ごほっ…」
お尻に鈍い衝撃と共に埃が舞う。未来の私は一体どこに居たのだろうか。
うすく目を開けると、随分と草臥れた廃墟の中だった。
「おい!女がガキになったぞ!」
「ちっ。十年バズーカか」
「こいつをバラせば女も消えるんじゃねーか?」
「ああそうだな。まあそんな訳だ、悪いなベルフェゴールの女」
そういってキラリと光るナイフに理解できぬまま、反射的に目をぎゅっと閉じた。私の16年の人生はここで幕を閉じるようだ。
「ぎゃああああ!!!」
「ヒィッ!」
ブシュッ、ビシャッ。生々しい音がやけに耳に響いた。しいんと静まり返った辺りに不安が溢れ出して、体がカタカタと震えた。
血の気は一気に引いて指先まで凍りつく。
「アオイ…?」
その声は、私の全てを動かした。少し大人っぽくなったけれど、そのテノールは変わらない。どこか掠れたような声で私の名前を呼んだ。
「ベ、ル」