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いつかはこうなるんだろうな、なんて想像するのは容易い。だが実際どんな脳内シミュレーションをしてみたってその時が訪れたら理想通りには動けないのだ。


「疲れた」

「え?」

「もうさ、お前と居らんねーわ」

「…何で」



たとえば今。私はここでベルを殴って指にはまるリングを投げ捨てる予定だった。何でなんて呟いた私こそなんで。理由なんて知ってるでしょう。


「飽きたんだよ」

「身勝手すぎ」

「だってお前普通すぎ。もっと意外性があるヤツかと思ってた」




そんなの貴方の勝手なイメージでしかない。言い訳ばかり浮かんで来る脳はどこに捨てたらいいのだろうか。縋り付くつもりなんて無いのに。私に告白してきたのはベルで、私は彼の事をどうも思っていない。だからいつかは終わる関係だって知ってた。


「ここでオレを振り返すぐらいしろよ」

「…こっちこそ願い下げ。とでも言って欲しいの?」

「まあね」



そして前髪に隠された目を貴方は細めるんでしょう。私と別れて最近口説き落とした女性隊員と付き合うんでしょう。幹部で顔が整っている貴方なら女には一生困らない。だって私も、


「別れたくない」



貴方を好きになっていたんだから。






20111017



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