終わらぬ螺旋 | ナノ
マス→リン→レン→マスで切なめ。








「マースター」

「ん?」

「レン、ご飯いらないって」

「…そか、じゃ、二人分な」

「うん」


そう言ってマスターはカップラーメンのフィルムを剥がす。リンも一つとってそれに習う。机に置いてあるポットを引き寄せ、お湯を入れる。そしてフタの上に箸を置いて、三分待つ。ものすごく簡単な作業。

蓋の隙間から立ち上る湯気をぼんやり眺めていると、

「リン」

マスターが呼んだ。


「なあに?」


「どした」


「…何が?」



首を傾げると、マスターは両手を差し出す。



「…レンに、何言われた」


「…………………」



じわ、と涙腺が緩みそうなのを堪えてから、ギュッとその腕に飛び付く。



「…マスターと二人で、仲良く食べれば、って」


「…馬鹿だな」


「ホントだよ、もー」


呟いたマスターにわざと明るく言って、くるりと体の向きを変える。マスターがまた引き寄せるから、ぽすんとその胸の中に収まった。互いの表情は見えない。けれど、伝わってしまうんだろう。



「…リンは、三人一緒がいいのに」


「俺も…」



私は、レンが好きだった。
だけど、レンはマスターが好きだった。


レンもマスターも男の子だけど、レンは恋愛を超える程にマスターのことが好きだった。
私よりもかまってほしくて、家の中ではずっと隣にくっついて離れることはなかったし、歌もいっぱい練習してた。


でも、マスターは私たちに同じだけの愛しかくれなかった。
それが悔しいのか、レンは私よりもマスターに可愛がってもらいたくて必死だった。


『レーン、マスターがご飯にしようって!』


『…いらない』


『…なんで?食べようよ』


『…るさいな、マスターと二人で仲良く食べれば!』



次第に、レンは私と口を聞いてくれなくなった。
たまに話しても、帰ってくるのは冷たい言葉。


そうしているうちに、レンはマスターにも近づかなくなった。
いつの間にかマスターと二人になることが多くなった。
二人だけの淋しい時間は続く。


マスターは私がレンのことを好きなのを知っていたから、協力してくれていた。


「よしよし、リンはめちゃめちゃいい子なのにな」


「…………」


レンが遠ざかるようになってから、マスターもレンを遠ざけるようになった。ますますレンは辛そうな顔をした。



「…ねえ、」


「ん?」


「もうちょっとレンに優しくしてあげてよ」


「や」


「なんで」


「だって、レンがリンに冷たいから」


「えー」


私は、マスターに褒められて、頭を撫でられて、笑ってるレンが好きなのに。



どうしてこうなっちゃったんだろう。


どうすれば良かったんだろう?



リンがレンを好きになったのが悪かったのかな、
レンがマスターを好きになったのが悪かったのかな、
マスターが二人ともを愛したのが悪かったな、



「…っ」


「……泣くな、リン」


「…ごめん……マスター…」




私は、マスターに甘えてしまう自分が、一番嫌いだ。












マス→リン→レン→マス。
マスターはリンが好きなんだけど、レンを蔑ろにできないから同じだけ愛情を注いでたんだけど、マスターが好きなレンは、総てをマスターに注いでたのに、リンと全く愛情が変わらないことがもどかしくて、行き場のない思いでリンにやつあたりして、レンが好きなリンは、レンに笑っててほしいから傷付きながらもマスターにレンに優しくしてって頼むんだけど、リンが好きなマスターはレンがリンに冷たくてリンを泣かせてるのが許せないから優しくしてあげない。という悪循環。←長っ


これはレンが大人になってリンの愛に気付くリンレンルートとマスターが傷つくリンを救ってあげるマスリンルートのどちらも書けるなー続くかどうかわからんが。続かないかも。











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