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だって判らないんだ



急な事態の変動に俺の頭は全く付いていかなかった。訳が判らない。どうして俺は此処に居る。俺は一体何をしている。思考は既にショートしていて考える事自体を放棄してしまっているようだった。まるで自分が自分では無くなってしまうような恐ろしい感覚。今までに体験した事の無い程自分の行動を抑制出来ないし思考を把握する事も叶わない。だから、コートから離れた校舎の裏で細い体を震わせていた貴方を抱き締めてしまった事に理由なんて存在しない。ただ抱き締めたいと云った、本能に従ったままだったから。

泣いても良いですよ、と呟くと滝先輩はバッと一瞬驚いたような顔を上げた。それでも優しく抱き支えてやるとぎゅっと胸の当たりに顔を押し当ててきたので俺は安心した。泣きたい時は泣けば良い。なにも恥ずかしい事は無いですよ、抱き締めたままそう言い聞かる。小さな肩はやはり震えていたが滝先輩は一度として泣く事は無かった。


2011/03/19
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