※エイプリルフールでした。
2015年5月4日に行われるスーパーコミックシティ24にて、ARCV夢小説本を配布します。
素良が報われないユーリ×菟雨及び素良×菟雨のR指定鬱本。R指定シーンはユーリのみです。
R18 / A6判 / 105ページ / 名前固定 / 挿絵無し / 予価600円
購入の際は年齢確認を行わせていただきます。年齢確認にご協力頂けない方への配布は行えませんので、ご注意ください。
東2ホール ヒ2j 「ひつじらいす」にてお待ちしております。
以下、冒頭サンプル。
羽根をもがれた鳥はもう飛べない。足を失った獣はもう走れない。綿を奪われたぬいぐるみは抱きしめられることも叶わない。じゃあ人間は、何を失えば無力になるんだろう。僕はそんな事を思って少しだけ首を傾げた。こんな事をしても何も変わらないのは分かっている、それでも僕はこうして現状に甘えることしかできないんだ。
僕の前で笑みを浮かべた、双子の妹はゆっくり語る。幸せそうに、嬉しそうに、今この世界で一番幸福なのは自分だとでも言いたげに、ただただ無心で語り続ける。僕が聞いているか否かなんて、今の彼女にとっては些細なことなのだろう。
――それってつまり、僕が、二の次に置かれてるってこと。
つまらない顔をして、僕は嬉しそうな菟雨を眺め続ける。花の咲いたような、綺麗な笑み。けどそれを引き出しているのは、目の前にいる僕じゃない。本当はつまらないし今すぐにでもこの場から立ち去りたいよ。けど駄目なんだ、そんな事をしたら僕は菟雨にとって"優しい双子の兄"でなくなってしまうから。
僕たちは双子、家族。だから、それ以上の関係を望む僕はきっと壊れている。微笑みながら言葉を紡ぐ菟雨に、本来持っちゃいけない感情を僕はお腹の中に溜め込み続けるんだ。よくない感情がお腹の底を這い回る感覚に、僕はほんの少しだけ目眩がした。
好きだよ、何よりも好きだよ。けどこの気持ちは僕一人のものでいい。こんな気持ちを菟雨にぶつけて傷付ける程、僕は我儘になりたくないから。
……けど、こんな感情持ってる時点で我儘も何も。そう思って、僕はゆっくり目を閉じた。
「……素良?」
僕の些細な仕草に、菟雨は不安げな声を上げる。この瞬間菟雨の優先順位の一番は、僕へと変わった。変わった、よりは戻ったの方が正しいかもしれない。本来、菟雨の中の一番はずっとずっと僕だったんだから。
机を挟んで向かい合って。目の前には甘い紅茶と、お砂糖もミルクもないブラックコーヒー。人気のない時間帯、アカデミア内に設置された食堂で僕たち二人はただ意味も無く話し合っていた。
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