text | ナノ
 ||| レン様と妹様


「にんじんさーん、ぶろっこりさーん、れたすさーん、あすぱらさーん!」
「ピーマンさんとトマトさんは食べないんですか?」

太陽が高く登った、暖かな昼下がり。
今日も今日とて、僕と可愛い妹ナマエは自室にて少し遅い昼食をとっていました。そうです、室内ですよ。何か問題ありますか?
手には優秀な部下であるアーちゃんの作ったお弁当。外に出るわけでもないのに、立派なバスケットに詰められた色とりどりのお弁当は冷めても尚美味しそうな香りを漂わせています、ナマエのリクエストでしょうか。
僕の膝に乗せられて楽しそうに体を揺らすナマエは、お皿に乗せられたおかずやサンドイッチをもぐもぐと食べ進めています。沢山食べる事はとっても良いことです、花マルを上げたいですね。
……一部の野菜を故意に避けていますけれど。

「だってぴーまんさん苦いんだもん。お兄ちゃんもそう思うでしょ?」
「確かにピーマンさんは苦いですねえ。でもトマトさんは美味しいですよ?ナマエは昨日ケチャップさん使いましたよね」
「だってトマトさん種が入ってるんだもん!ケチャップさんは種が入ってないよ?」

ぷー、と頬を膨らませながら抗議するナマエのなんと可愛いこと。膨らんだ頬をついついとつつけば、すぐに萎ませてしまいます。ほら、こういう反応がまた可愛い。
左手に持った小さめのサンドイッチをぱくりと一口で平らげると、右手に持つフォークでヘタの取られたプチトマトをこつこつとつついている様子。ツルツルしてなかなか刺さらないのも、プチトマトの特徴の一つですよね、僕はプチトマトのそういうところが嫌いです。あ、刺さった。
なかなか刺さらなかったトマトにフォークが刺さったのが嬉しいのか、「見てお兄ちゃん!刺さったよ!!」だなんてナマエはキラキラとした目で報告してきます。ああ、やっぱりうちの妹は世界一可愛い。
そんな小さなことに癒されていると、つんつんと刺さったトマトを僕の口元に押し付けて来ました。ダメですよ、自分で食べなくちゃ。お兄ちゃんはいつも助けてあげるわけじゃないんです。
ふい、とそっぽを向いて新しく手に持ったサンドイッチを頬張ってみます。これは卵とハムですか。うん美味しい、これまた今度アーちゃんに作って貰いましょう。
さてどんな様子かとナマエのほうを見てみれば目に涙が溜まり、今でも決壊してしまいそうなほど。あああ、食べてあげるから泣かないでください。やっぱり僕も妹には勝てないですね。
刺さったフォークはそのままに、ぱくりと一口で食べ切ってしまえば「お兄ちゃんありがとう!」だなんて可愛い笑顔。本当にうちの妹は可愛らしい。今日何回可愛いって言いましたっけ。

「お兄ちゃん大好きー!」
「僕もナマエの事大好きですよー」
「トマトさんとナマエどっちがすき?」
「勿論ナマエに決まってるじゃないですかー。ナマエは、お兄ちゃんと卵焼きさんどっちが好きですか?」
「えっとねー、櫂!」
「えっ」


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