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 ||| アバラと林檎は罪の味


(BL的表現ありにつき注意)


「ロスさん、なんでいつもアルバくんを虐めるんですか?」
「楽しいからやってるんだ。何か問題あるのか?」
「見てるこっちは不快です」
「お前にとって不快でもオレにとっては立派な愛情表現だ」
「は?」
「お前も気付いてるんだろ、オレはアルバさんのことが・・・」


「うわあああああああ!?」

水中でもがくような感覚で目が覚めた。
あの夢は一体なんだったんだろうか。
ロスさんがアルバくんのことを?え?ないない。
アルバくんは大事な旅の仲間で、ロスさんも王宮戦士としてアルバくんのサポートしていて、わたしは道中巻き込まれる形で拉致された俗に言う村娘A。
わたしが旅について行く前からロスさんはアルバくんに暴力ふるったりしてたし、そんな愛情表現だとかそんな・・・・そんな、ないよね?



「あ、あのー・・・ナマエ?」
「な、なあに!?アルバくん!!」
「な、なんでそんなに離れてるの?あと妙に力んでるけどなにか」
「なんにもないよ!なんでもないよ!!!」
「そ、そう」

あの夢を見た日から妙に二人のことを意識してしまう。
そんなのありえないと思っているのは確かなんだけど・・・どうしても不安が拭えない。
完全に二人はデキてると思い込んだわたしの脳はどんどんダメになってしまったみたいだ。
ご本人に聞きに行こうにも聞ける話題でないのは確か。
アルバくんやロスさんに恋をしているわけではないのにどうしてここまで執着してしまうのだろう。
わたしは他人の愛の形に難癖つけるような最低な人種だったのか!?
それはそれで人として恥ずかしいけどそれをそのまま黙認出来るほど大人でもない!

・・・仕方がない。
たとえ引かれようとも、パーティから外されようともこの不安感を拭うには直接聞くしかないのだ。
明日の夜、宿についたらロスさんに聞いてみよう。



山路を超えてやっとついた小さな宿。
人通りも少ない道なせいか、空き部屋沢山格安お値段と聞いて三人それぞれ別々の部屋を借りた。
普段は男女で二部屋なのになー、と思いながらも今日の目的を果たすためには絶好のチャンスだ。
個室にあるシャワールームで一日の汗を流してからロスさんの部屋へと歩みをすすめる。
アルバくんの部屋の明かりがついていないような気がしたが、気のせいだろうか。

数本歩けば、ロスさんの部屋はもう目の前だ。
アルバくんの部屋を挟んで隣り合ったお互いの部屋は10mもないはずなのに妙に遠く感じてしまう。
妙に緊張するのは何故だろう、折角シャワーを浴びたのに意味がなくなってしまう。
手汗と冷や汗をかきつつそっとドアに手を伸ばした。
・・・が、ドアが開けられない。
物理的ではなく精神的な意味で開けられないのである。

「あっ・・・せんし、そこ」
「ここですか」
「あっ、そこ!そこいい」
「気持ち悪い声出さないでくれますか?」
「痛っ!お前なあ・・・」
「やめてもいいんですよ?」
「それは・・・」


クロだ。
どうしようこれ完全にクロだ、やらかしてる。
こんな壁の薄い宿で何してるんだこの人たちは!
ガタガタと手が震える。
やっぱりこの二人はデキてたんだ、ホモだったんだ!わたしはいらない子だったんだ!!
明日からどんな顔して二人に会えばいいんだろうか。
けどその前にここから立ち去らなければ!

あわあわと慌ててドアの前から立ち去ろうとすると突然大きな音と共に廊下の板が外れる。

「え?
ぎゃあああああ!!!」

わたしが一体何をしたというのだ。
折れてささくれた部分が足に擦れて傷が出来る。
やばいまじで泣きそう。むしろこれ泣いても許される気がする。
じわりと目尻に涙が浮かぶ。
ぽたりと涙が落ちると同時に大きな音をたててドアが開き、ドアに頭をぶつけた。
わたしが一体何をしたというのかね・・・・。
完全に戦闘不能となったわたしにアルバくんの心配する声が聞こえた。
あれ、なんで二人そんな・・・・アルバくん歩くのも辛いとか言ってなかったっけ、あれ?

「か・・・・・カツ丼」

ぐらぐらする視界をそのまま維持することなんて出来ず、数秒後わたしの意識はブラックアウトした。



いつもTwitterでお世話になっている某氏にひっそりと。
お誕生日おめでとうございます!
もっと早く行ってくれればちゃんとしたのが書けたというのにまったく。
これからもよろしくお願いしますね。


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