||| ユートくんと罪深い娘
ごめんなさい、ごめんなさい、神様、ごめんなさい。わたしは罪深い人間です、わたしはいきていてはいけない人間です。
ごめんなさい。そう繰り返しても、わたしを許してくれる人はいないのです。わたしは罪深い生命、人間と呼ぶことさえ烏滸がましいのてす。
ああ、なんということでしょう。罪深いわたしが、罪深い人間の命を簡単に奪ってしまう。そんな虚しい現実が、わたしの中の何かを奪ってゆくのです。
彼らは侵略者、それを撃退する事は、正当な防衛手段。彼は言います、わたしたちに罪はないのだと。けれどわたしは、何度それを飲み込もうとしても、飲み込む事ができません。息を止めて、鼻をつまんで、その状態で漸くそれはわたしの喉を通るのです。
硝煙の香り漂う戦場にぽつんと立つわたしは、侵略者にとってきっと良い餌なのでしょう。いっそのこと喰らってくれれば、そう願ってわたしは、ぼんやりした手つきで自分のデュエルを展開します。
けれど、ああ、だめなのです。わたしが彼らに喰らわれる権利は、ありません。罪深いわたしを喰らった所で、彼らの罪が重なるだけ。なんて意味のないサイクルなのでしょう。誰かにわたしの罪が被さる、そんな、当然の事を当然と感じる事ができないわたしは歪でしょうか?
誰かに罪を背負わせない為に、わたしはぼんやり生きてゆく。そしてまた、罪深いわたしは罪という傷を深く深くまで負ってゆくのです。
その傷が深まる事を理解しても、この悪夢のようなサイクルは終わりません。わたしが自らの手で終焉を願ったとしても、わたしの罪が浄化される事はありません。きっと、わたしを仲間と呼ぶ彼らは、わたしの罪を背負い戦い続けるのでしょう。彼らを残してこの身を捨てる事などわたしには、到底選択できないのですから。
「そうでしょう、ユート」
「俺は、君の罪を背負う覚悟は出来ている」
「けれど、それをわたしは許しません」
「……君は、いつもそうだ」
「貴方は今、虚しいですか?」
「…ああ。虚しいな」
「でしたら、貴方は優しい人間です。わたしの罪を背負うべきではありません」
微笑みを携えてそう告げたわたしを、貴方は何故それ程歪な目で見つめるのでしょうか。
わたしの言葉さえも罪だというのですか?それとも存在?ああ、何もかもが分かりません。罪深い存在であるわたしが、清い彼らのを理解しようとするのが烏滸がましいとでも言うのでしょうか。ああ、主よ、わたしは何もかもが分かりません。分かりたくも、ないのです。
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