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 ||| ガイヤールくんに大丈夫と言う


「大丈夫だよ、愛してるよ」

彼女はそういった。だからボクはそれを信じた。彼女の大丈夫は大丈夫じゃない。それを分かっていてもボクは彼女にそれ以上を求める事は無かった。ボクも彼女同様に大丈夫ではなかったからだ。
愛してるという言葉の押し付け合い。隣に居るという確信が欲しいだけに、愛と言う言葉を安売りし自身の立場を絶対にする。
ボクはおそらく、彼女を愛していたんだろう。それに関しては、間違いないと思いたい。だってボクの感情の始まりは、好きと言う地点だったんだから。
けれど彼女はどうだろう。酷く虚ろな目でゆっくりと僕を見て、そして、笑って告げた愛している。彼女は本当にボクを愛しているのか?そういった疑問は当然、ボクの中に浮かび上がる。けれどそれでも、ボクはその疑問を無視して彼女に愛を囁いた。ボクもだよ、と、嘘偽りない本心をゆっくりと口にする。だからボクたちは愛し合っていた。それが酷く歪な関係と言うのは、誰よりも僕が分かっているのだろう。それでも彼女を手放すことのできないボクは愚か者か?いやいっそ、それでもいいのかもしれない。
己の身を炎で焼かれ、裁きを受けるような錯覚。それはある意味、仕方のないことなのだろう。彼女の一瞬につけ込み、ぼくは、最低な行為をしている。それは僕だって、当然のように理解している。
でも仕方がないじゃないか。ずっとずっと、ボクは彼女を求めていた。そんな彼女が、ボクの求めていた言葉をボクに対して告げたんだ。もしも君が、何よりも一番愛している人に「愛してる」と告げられたらどう思う?それは無論、君だって喜ぶに決まっているだろう。
だからボクは迷わず彼女の手を取った。そして彼女を、ボクの為の、存在へと作り変えた。
それの何が、いけないというんだい。これはボクにとって、まぎれもない純愛だというのに。
彼女の痩せ細った白い腕が何よりも美しいか。彼女の流す涙が何より尊いか。君たちは分からないからそうやって彼女を批判するんだ。
彼女の言葉は嘘ばかりだ。辛くないというときはいつも一人で涙を流す。平気だというときはいつも一人で嘆き続ける。彼女は優しい、だから、きっと僕に心配を掛けないように気を使っているんだ。
ボクを突き放すのだってきっとそのせい。来ないでという言葉は、ボクに触れてほしいという意味だろう。その涙は、寂しさからくるものなんだろう。
ボクは彼女の事を全て知っている。だからボクには分かる、分かるんだよ。彼女がボクの愛を幸福に受け止めていることも、なにも、かもが。


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