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 ||| ガイヤールくんと気まぐれ


(落ちない)

神様のお告げだと人は言った。わたしはそれを信じていないわ、けれどその言葉が本当に神様の言葉なのだとしたら私はどうすればよいのかしら。神様が本当に言ったのだとしたら、信徒であるわたしはその言葉を信じない為に罰を受けるのよね。そんな些細なことで罰を受けるだなんて神様は随分と心が狭いのね。わたしはそう言って目の前の彼を嘲笑したの。
くすりと笑うわたしに、貴方は恐らく苛立ったのね。立ち上がって何か言葉を発しているわ。けれどわたしには何一つとして届かないの。ああごめんなさい、貴方が何を言っているのか何一つとして分からない。
貴方のことを馬鹿にしているわけではないわ、けれど駄目、だって分からないんですもの。分からないものに頷く程わたしも酷い人間じゃないわ。その話が貴方にとって大切な事なのだとしたらわたしはそれに手を掛けた最低な戦犯になってしまう。それもそれで面白そうだけど貴方が困ってしまうのは少し嫌、だからわたしは何も言わずに目を瞑る。それでいいの、それで。
貴方が幸福になる選択肢を選んだだけ、それが必ずしもわたしにとっての幸福となるわけではない。そうでしょう、貴方もそう思うでしょう?わたしの幸せは貴方の幸せでもないし、貴方の幸せはわたしの幸せでもないの。
貴方が幸せならわたしも幸せよ、なんて人はよく言うけれどあんな綺麗事わたしにはとても無理だわ、だってわたしはこういう人間なんですもの。
「   」
そうね、それでいいかもしれないわ。
聞こえてもいないのにそんな嘘をわたしは吐くの。素敵でしょう、何も知らないまま貴方を傷付ける嘘を吐くのって。わたしの一つ一つで貴方が困った表情をする、そんな瞬間がわたしは堪らなく好きで仕方がない。
ねえ、わたしの気まぐれに振り回される気分はどう?そう思って貴方を見れば、酷く悲しそうな表情でわたしをただ見つめるの。
そうね、その顔が一番いいわ。

「ナマエ」
「貴方はそれでいいの」
「ナマエ…」
「貴方のその顔大好きよ」
「君は、どうして」
「貴方が好きよ、ああ、でもやっぱり好きじゃないわ」

虚ろな表情。貴方は一体何を感じて何に苦しんでいるのかしら。
何も分からないわたしが知った事では、ないけれど。


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