||| 小夜左文字の幸福
魔法だったら幸せだった?夢だったら安心できた?そうやって、過去の現実から逃げ続けて、貴方は一体何になった?
答えのない疑問をぶつけ続けて何になった。そうだ、何にもならなかった。僕にに幸福は訪れなかったんだ。
そんな単純なこと、ずっと前から気付いていただろう。それでも君は何も出来なかったんだ。弱いから、いいや、違う。貴方は、優しすぎるから。
そんな単純な言葉を何度も何度も貴方に与えた。それでも貴方は幸福を拒んだ。じゃあ、僕は一体どうすればいい?
もう分からないんだ。幸福って何。貴方にとっての幸福は?
僕は貴方が幸福なら、きっと幸福になれるよ。貴方が幸せなら、それで幸せだ。
その幸せの中に僕が居なくても、きっときっと、幸せなはずなんだ。幸せでなくては、ならないんだ。
いいんだよ、僕たちは所詮使い捨てなんだから。ほら、僕が居なくなっても次の僕がいるだろう。僕という存在は個体じゃない、種族だ。
貴方の幸福の足場にすればいい。何度だってすればいい。そうすれば、貴方の望みは叶うんだろう。貴方の復讐は完了する、そうして、貴方も僕も幸せになれる。
僕は、復讐に取り付かれた哀れな刀なんだ。この記憶はどうする事も出来ない。
だからお願い、僕の代わりに僕の望みを叶えてよ。
その為に"僕"は何度でも貴方の足場になる。貴方の憎しみを解放する刃となる。
そうすれば貴方は幸せだろう?幸福だろう。
もういいじゃないか。その心に抱く感情を憎しみと認めてしまえ。そうすれば貴方は楽になる。もう、自分を苦しめなくて済むんだ。
いいんだ、貴方を苦しめる奴は、皆死んでしまえばいい。そうすれば貴方は幸せだろう?そうすれば僕だって幸せなんだ。
貴方は昔言った、僕たち刀の幸福が、自分の幸せだと。
あれは嘘だったの?そんなわけないよね、貴方は嘘を吐くような人間じゃないよね。そうだよね、そうだと言ってよ。
ねえ、何か言葉を返して。僕はその為に貴方の傍に居つづけてるのに。
声が聴きたい。ねえ、何か話して。
昔聞いた御伽噺がいいな。異国のお話がいい。
話してよ、ねえ、僕のお願い聞いてよ。
僕はもう一人になりたくないんだ。
一人は怖いよ。
ねえ、
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