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 ||| 旋風くんと幼女


「ぶれいぶ、しゅうたあくん」

幼い笑みを浮かべて僕の名を呼ぶ彼女に、僕は微かな高揚を覚えました。
成る程、これが人間でいう恋なのですが。アクアロイドの僕には理解ができないと思い込んではいましたが、案外悪くないものです。
先陣よりも幼く、マーメイド以上に可愛らしい僕たちアクアフォースの先導者。
軍の皆から愛され、僕たち下等兵にも平等に話しかけ笑顔を与えるその姿はまさに女神。
柔らかいお身体に触れることも、願えば可能。彼女はとてもお優しい方だ。

「髪の毛、きれーね」
「ありがとうございます、マイヴァンガード」

かみのけを、褒められた!愛しの先導者に褒められた!何てことだ、これ以上に嬉しいことはきっと他にない!
その愛らしい桃色の唇から、僕の髪が、僕の存在が、名前が語られて!ああ!
周囲に他者が居なくてよかった、もしも居たら僕のこの顔のにやけを指摘されていたに違いない。
にこにこと微笑む彼女は、他者の笑みが大好きなお優しい方だ。
「マイヴァンガードの髪も、大変お美しいです」
御返しに本心を告げ、僕もそっと微笑んでみる。軍で笑うことは少ないから、あまり上手にできている自身はないが――それでも、彼女の為に僕は笑う。

「ぶれいぶしゅーたーくん、笑顔下手くそお」
「そう、ですか?」

僕の顔を見てクスクスと笑う彼女に、ただ僕は首を傾げる。やはり変だったでしょうか。
彼女が笑ってくださるのは嬉しいけれど、彼女が何に笑っているのか理解できないのは少々悲しいもの。
鏡があれば良いのですが、と少し周囲を見回せば、先導者からそっと手鏡を手渡されます。彼女はそういった気配りも出来るのですね、益々惚れてしまいそうです。

「おかお、面白いよ」
「本当です、僕の顔はおかしなものですね」
「おかしくないよ、面白いの」
「それは…どう違うのでしょうか」
「んーとねえ、んーと…メイルストロームとトランスコアのちがいと同じくらい?」
「………なる、ほど」


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