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 ||| ソフィアちゃんと一週間


宇宙は水で氷は時計で、時間はクッキーか何かだと思うんだ。

月曜日、私の奇妙な世界について綺麗なあの子は眉一つ動かさない。それが命令だから、私の話を聞くのがお仕事だから。
白いあの子はいつだって私の目を見てくれない。ぐるぐる回る私の目は気持ち悪いっていつもみんながいってる、だからあの子も同んなじなんだろう。けどいつもっていつ?
ちいさなチョコレートを一口食べればどろどろの感覚がとっても気持ち悪い。美味しくない。チョコレートは嫌いになった。

火曜日、今日も同じようにぐるぐるまわる、クッキーを一口齧れば砂時計は割れてしまった。
これじゃあ紅茶を蒸らせない、そう思って眉を下げれば白いあの子は新しい砂時計を与えてくれた。
あの子は優しい子だ、奇妙な私とお話ししてくれる優しい子。
だから私はあの子が好き、そう兄様に伝えたらなんでか頬を叩かれた。叩かれた筈なのに痛くはなかった。

水曜日、今日も今日とてなにも変わらない。白いあの子は赤いラスベリーケーキにフォークを突き刺した。
私のお気に入りの赤いケーキ、差し口から零れる赤色のソースはまるで血の色見たい。白いお皿に赤が映えて少しだけ気持ち悪くなった。
赤色のティーカップの中で溶け切らなかった砂糖が泣いてる。なんだか邪魔だからスプーンで全部潰してしまった。

木曜日、白いあの子は会いに来てくれなかった。兄様がいつか言っていた気がする、もうあの子には会えないんだって、会わせないんだって言っていた気がする。私はあまり頭が良くないからちゃんと覚えていないけれど。
真っ白のショートケーキに苺が一つのったまま。私は苺が嫌いだ、ついとつついてお皿に落とせば白い生クリームと一緒に私の視界から消えてしまった。

金曜日、生クリームみたいな白い場所に連れて行かれた。私の体に沢山ひもみたいなものが繋がれる。沢山針を刺された。少しだけ痛かった。あの子はどこにもいなかった。
少しだけさみしいと思った。けどすぐそばに兄様が居たから私はなにも言わなかった。
兄様はすぐに私を虐めるから。私は兄様が好きじゃない。けど私には兄様以外なにもない。だから私は兄様の言うことを聞く。

土曜日、白いあの子が私に会いに来てくれた。私の好きな紅茶とお菓子をもって会いに。
白色のティーカップは前と変わらず綺麗なまま。あれ、前っていつだっけ。いつでもいいや。この白色はあの子に似ているから好き、そう言って笑えばあの子はとっても嫌そうな顔をした。
すぐそばに置かれたチョコレートを口の中に入れる。どろどろした感触が好きになれない、気持ち悪い。あの子は一回も笑わなかった。

日曜日は、誰も会いに来てくれない。
兄様と二人だけでお話をする、とってもつまらない日。いつもそうだ、けどいつもっていつの話?
時々私は分からなくなる。今がいつで何をして何に苦しんでいるのか、何のためにこの白い場所にいるのか。
おうにち帰りたいです、といえば兄様は私の頬を叩かれる。それはとっても痛いこと、だから私は我儘を言ってはいけない。
お家に帰ったら甘いケーキを食べて、白いあの子と一緒にお話をして、紅茶を飲んで、私の目を見て、一緒にお話しして。
そうだ、そのために今日は早く寝よう!目を瞑って、白いベッドの中で意識を沈める。
さあ、目が覚めた時にはきっとあの子とお茶ができるはず。


月曜日、クリーム色の髪の男の子は私をみて嫌そうな顔をした。
白い色のティーカップに入った紅茶は不安になるほど煮出されている、色黒のもの。
白いティーカップを何処かで見たことがある、白色がもっと近くに居た気がするのに。
あれ?と思って紅茶の底をじっと見つめる。
何も見えるはずがないのに、なぜか目が離せない。
私は何を忘れているんだろう、なにかぽっかり穴が空いたような感覚を無視して苦い紅茶を一口、甘いフルーツタルトを口に運んだ。


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