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 ||| ノボルくんとちゅーがしたい


ぎゅ、と後ろから抱きつくと物凄い勢いで怒られた。一体私が何をしたっていうの!そう言って頬を膨らませれば、ほんのりと赤くなった頬を隠しながら大好きなあの子はこう言った。

「だからいきなり抱き付いてくんなよ!!」
「普通の愛情表現だよ、だめなの?」
「駄目に決まってんだろ!」

そう言って私を引き剥がす大好きなあの子――ノボルくんはやっぱり顔が赤かった。
なんだー、ツンデレさんめー。そう言ってぷにぷにと頬をつつけばツンツンなお言葉を返される。なんて分かりやすい子なんだろう。
ニコニコしながら可愛い反応を楽しむ。年齢はそれこそ同じだけど、誕生日は私のほうが早いしバディファイトを始めたのだって私のほうが早かったもん。だから私がお姉さん!
えっへん!と心の中で胸を張っていれば、隣を歩くノボルくんが微妙な顔でこっちを見てくる。可愛いお顔が台無しだぞー、とつっこめばまた頬が赤くなった。あれ、ノボルくんって赤面症だったかな。

「…つーかお前いつまでついてくるんだよ、次お前のクラス国語だろ」
「え?次の時間は体育館で合同だよ、朝先生言わなかった?」
「えっ、マジで?」

ぱちりと目を瞬かせるノボルくんにつられてぱちり。
ノボルくんの焦る顔久々だなあ、なんてのんびり思えば「なんで言わなかったんだよ!」だなんて小さく逆ギレされる。なんでだよう、聞かなかったのはノボルくんなのに。
ぷく、と頬を膨らませれば両手で頬を挟まれ一瞬で萎められた。ちょっと切ない。
むにむにと私の頬をいじめるノボルくんに何故か頬が熱くなる。ノボルくんから近付いてきたのって、ちょっと久々。
ドキドキしてちょっとだけ目を瞑る。ちゅーなんて大人なことしたことないし、ノボルくんチキンだからしてくれるとも思えないけど。
そう思って目を開ける。あ、これヤバい。そう感じてゆっくりと瞬きをして再び目を閉じた。
至近距離にノボルくんの顔があるなんて誰が想像するだろうか。そうだよ、いつもチキンで奥手なノボルくんが?まさか!するわけないよね。
そう思って再び目を開く。さらに近付いているノボルくんに汗が垂れるのを感じた。

「あ、あのうノボルくん」
「…目瞑れよ。その……恥ずかしいだろ」
「ほ、本気?」
「…お前がその…あんな状態でそういう顔するから悪いんだろ、今更嫌がっても聞かないぞ!?」
「嫌がるつもりは微塵もないですすみません!」

そう言って再び目を閉じる。ぎゅううって硬く閉じれば、顔の神経が研ぎ澄まされて余計にドキドキする。
心臓が痛いくらい動いてる。頬が熱くて燃えちゃいそうだ。
頬に添えた手に力を込めて、そっと上を向かされる。上を見るのは身長が小さいものの定めだ。
ドキドキする。直ぐそばにノボルくんの感覚があって、呼吸とか息遣いが凄く良く分かって恥ずかしくて……!

「…やめた」
「ふえ、ちょっ、何処行くの!?」
「体育館、早く行かないと置いてかれるだろ」
「ち、ちゅーは!!」
「んなもん知るか!」

そう言って廊下を全力で駆け抜けるノボルくんに空いた口が塞がらなかった。えっ、え?
ちゅー、すっごく期待してたんだけどなあ、今日こそはちょっとでも進展できると思ったのに。…あ、転んだ。
触れられていた頬に指を這わせる。まだ熱くて、きっと私の顔今真っ赤だと思うの。
…もうちょっと、女の子らしくしてみようかな。
自分の頬をふにふにと弄りながら小さく呟いてみた。


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