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不自然ガール


──キミはどうしてそんなに魅力的なの。
そう問い質したいぐらいには、彼は魅力的な人だ。私がどんなに頑張っても届かないぐらい。

クラスに、いや学年に一人はいる。誰もが頷く"カッコイイ"人。私が好きになった人は正にそういう類いの人だった。
端正な顔立ちに、笑うと出来るえくぼ。文武両道と言うべく、バスケ部のエースを努め、そして定期テストは学年ベスト10入り。誰にでも別け隔てなく接してくれる優しさからか、名乗り出る人がいなかった学級委員も文句1つ言わずにこなしている。
だから。私がキミに近づくなんて永久に無いと思ってた。教室の隅から見てるだけで幸せ。それで満足してた筈だった。

「水野さん、それ持とうか?どこまで?」
「え、」
一瞬何が起きているのか全然分からなかった。目の前に立っているのがキミだって信じられなくて、自分の目をひたすら疑った。
なんとか頭をフル回転させた結果、優しさに対して黙るというのは失礼極まりないかという結論に至ったので、口を開く。
「あ、えっと、職員室だけど……。……大丈夫、大丈夫だよ。」
これぐらい持てるって見せたくて、積んだB罫ノート計60冊を持ち上げようとする。まぁたいして力がない私が意地を張ろうとしたのが悪いんだ。
非力な腕は呆気なく悲鳴を上げ、持っていたノートを全て床にぶちまけた。
「ちょ、水野さん!」
なんて醜態。恥ずかしすぎて死ねる。いや死なせて。
「もー無理するから!大丈夫じゃなかったじゃん!やっぱり俺持つよ」
「いやいいって…、関係ないのに悪いし」
目を合わせないように俯きながらノートを拾い集める。中島くんは優しいから、案の定拾うのを手伝ってくれながらも頑固というかなんというか。
「水野さんが何と言おうと、俺持つからね!」
なにこの人。可愛すぎですか。
「……ごめんね。ありがと」
悶えたいのを我慢しながらなんとか返事をする。
計60冊全部拾い終えると、中島くんはよっこいしょ、と男らしく軽々と持ち上げる。腕捲りしていたシャツから覗く腕の節が素晴らしい。バスケ部だもんね。そりゃあ筋肉あるよね。
我ながら気持ち悪いことを考えながら、中島くんの斜め後ろをついていく。
「水野さん、今日日直?」
「あ、うん。そう、日直」
「日直とはいえ、こんな荷物女の子一人じゃ大変だよね。先生も無茶言うなー」
ははは、と笑う顔も素敵。iPhoneさえ手元にあればカメラ起動させて連写するのに。
「ん、ここでいいのかな?」
「あ、うん。そうみたい」
先生が置いていったであろう貼り紙を尻目に言う。
「わざわざありがとね」
「いえいえ〜。じゃ、俺はここで」
用事があるのか図書室のある方へ駆け足で消えていった。
あれ、そういえば中島くんの彼女って図書委員じゃなかったっけ?そっか、休み時間だもんね。会いに行くのは彼氏の努めだ。
どうしよう。どうしようもなくキミが恋しい。彼女いるし、私なんか話しかけるのも躊躇われる存在だけど。
キミにまた会いたくて。いつも通りにするなんてとてもできない。




タイトルはもちろんPerfumeの曲から。Perfumeの曲の中でこの曲は本当に好きで…(笑)
不自然なガールは結構前の曲なんですが、興味ある方はどうぞYouTubeとかで…(笑)歌詞がめちゃくちゃ切ないので…ぜひ!(宣伝)この話よりも大分切ないですよ!


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