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嘘吐きな愛


――君のこと好きだった。
そう呟くと無性に泣きたい気分に陥る。こんな人がたくさんいる前で泣くなんて、この歳でできるわけないと出てきそうになった涙をなんとか引っ込ませる。
それにしても。寂しいなあだなんて。君がいた頃には私は何もしなかったくせに。今さら、君が手の届かないところに行ってしまったあとでこんなこと思うのは狡い。狡いし、何もかもがもう手遅れ。
本来祝うべきことだったのに。しんみりした顔をして君に心配させてしまったのはどこの誰ですかって話。ツンデレのデレの要素なんてこれっぽっちも見つけられない中、君はひたすら私のことを心配して。もしかしたら気を引きたかっただけなのかもしれない。まだここで言ったら間に合うかもしれないとか。そんなこと有り得ないのに。ただの迷惑だよ。こんな曖昧な想い。好きだ、好きだと堪らなく想うのに、想っているのに、本人には伝えないでズルズル引きずって。私の方が前から好きだったのになんて幼稚な理由を掲げて今幸せな彼に迷惑をかけたりしないけど。それでもやっぱり迷惑をかけてでも君のことを手にいれたいなんて独占欲強すぎかな。
いや、ただ前に進めないだけだ。前に進めない私を置いて、先に君が遠くへ行ってしまったから。嫉妬に近いような、羨ましさがあるだけだ。だからこの気持ちは恋だなんて甘い呼び方しない。できない。
結婚した君は私のどこか知らないところで私のよく知らない誰かと幸せな家庭を築いて幸せになればいい。
私はいつか君よりも素敵な人を見つけて君のことなんか全部忘れて私も幸せになるから。だから、君なんてもう知らない。知らなくていい。
ばいばい、初恋のような何か。



…あとがき…
以前の拍手お礼文でしたL('ω')┘三└('ω')」
やっぱり一次創作難しいですね。。


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