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痛いだけ


息が荒い。僕も、アリスも。
深夜12時過ぎの浴場。壁にぴったりと背中をつけて座り込む男女。嫌なぐらいに部屋に響く吐息。どうしたってこの状況だけ述べると、いかがわしいことをしているようにしか思えない。
ただ1つおかしな点があるとすれば、それは女の子が男の首筋に口づけ……ではなく、血を吸っていることだろう。
「……っ、あ"、んっんっ、……痛、ぁあ、ん」
「ん、……ん、……ん、」
無意識に溢れる声が部屋中に響いて恥ずかしい。上擦った自分の声に反して、アリスはひたすら黙って血を吸い続ける。声が漏れてる、と言えばそうかもしれないけれど、僕に比べたら大したことはない。
「……っね、あり、す……これ、まだ、……んんっっ、ちょ、痛、」
僕が文句を言うと、アリスは答えるかのように一際強く吸う。
「……申し訳ありませんでした。痛かったですか?」
口元に垂れた血をペロリと舌で舐めとる。なんだろう、悩殺的に可愛い。
「……予想以上に。っていうか長くないですかね」
僕が思ってるのと、だいぶ違ったんですけど……。そう言うと、アリスは本当に申し訳なさそうにもう一度謝った。
「久し振りに生き血を頂けたので、ちょっと、その、頑張り過ぎましたわ……。ごめんあそばせ」
「え、ちょ、どんぐらい吸ったんです?」
反射的に吸われた場所を手で抑える。
アリスはちょっと考える素振りを見せると、平気な顔をして言った。
「大体……、1Lと少し……、だと思いますわ」
「は、え?!そんな吸ったの?!」
「人間の致死量は1/2ぐらいですわ。大体1kgで80mL.ですから、さすがに渚でも4Lはあると踏んだのですが大丈夫そうですわね…!」
満足気に笑うアリスを尻目に計算する。56kgだと……4.480L、か?
「いや、1/2って、僕ちょっと危ないじゃないですか!」
「渚、あんまり興奮すると貧血で倒れますわよ」
アリスの忠告も虚しく、僕は貧血で倒れた。



シリーズ化したいという気持ちが強すぎて続きを書いてしまいました( v^-゜)気が向いたら続きも書くかもしれません(ニッコリ)


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