我が子のために

ミセの前に着いた

ミセは変わらないが…


「結界の魔力が変わってるな」


前は侑子が張っていたからね。
行こう、と桃矢の手を引いて中へ入ると


「「おかえりなさい」」


マルとモロがお出迎えしてくれた。


『ふふふっ、私ここの住人じゃないのに?』


そう言ったらマルとモロは顔を見合わせて笑った。


「「でもおかえりなさい」」


『ただいま』


私はまだ「おかえりなさい」と言ってもらえる存在なのだとうれしく思った。


「おかえりなさい、そしていらっしゃい」


奥から着物に身を包んだ四月一日くんがでてきた


『ただいま』


「ツバメの知らせ届きましたよ。びっくりしたした。」


『四月一日くんでもまだ驚くことあるのね?』


「そりゃぁあります」と苦笑いをした


中へどうぞと言われおじゃました


「彼は変わっていないな」


桃矢が私にだけ聞こえるように言った

四月一日くんは前あった姿のまま変わっていなかった



『彼は自分の“刻”を対価にしてこのミセを継いだの…侑子の代わりにね』
「あの人は」
『侑子の“刻”は動きだしたの…だからここにはもう居ない』


四月一日くんも侑子が戻らないのをわかっている。
それでも彼はここで待つと決めたんだとおもう。


部屋に案内された

懐かしい匂いだった


『これお土産。四月一日くんにはこの着物で酒豪のモコナくんと百目鬼くんに』
「百目鬼のことも知ってたんですか」
『まぁ…あと、』
「はい…こちらへ」


四月一日くんは通された部屋の奥へ私を導いた。



そこはここにきて一番最初に通された部屋だった


「願いは」


私は耳につけていたピアスを外した


『未来の我が子のために、いつかこれを渡して頂けますか?そして使い方を教えて頂けますか?』
「対価は」
『私の“みる”力と魔力の半分、足りるかしら?』


四月一日くんは目を閉じた


「…承知しました」
『ありがとう』


四月一日くんはふぅと一息はいた


「でもいいんですか?名前さん魔力がまた少なくなりますよ」
『いいの。必要な分だけあればそれで』
「そうですか…」
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