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『千隼くん…私は、ないよ…』
「お願い、聞いて。真希!」
『やめて!!お願い、やだ。やっと忘れる準備できてきたの。…名前呼ばないで…お願い…。』


入ってこないで、まだ時間が必要なの。
少しずつ後ずさる私の腕をいつもみたくつかんで離さない。


「忘れさせない!名前だって呼び続けてやる。お前が話を聞いてくれるまでずっと。」
「真希チャンごめん。千隼が来るの知ってて、真希チャンを待たせた。だけど、俺からもお願いだよ。千隼の話聞いて欲しい。」
『…竜生くん』

もうどうせ逃げる選択肢ないし、聞くしかないんだけどね…腕離してくれないし…


『聞くから、手離して…逃げないから。』

千隼くんは「わかった」とゆっくり手をはなした。私はうつむいたまま掴まれていた腕を抱き締めるように自分のほうに引いた。

「ずっと、俺はクマ女が好きだった。
いつも人にあげてばかりで、いつも人を優先して考えて、自分は我慢していつだって笑おうとする。だけどいつのまにかそれはクマ女じゃなくて、お前になってた。
それにどんなことすれば喜ぶのか、あぶないことから守りたいなんて思うようにもなってた。お前はいつも人のことばかりだから。だから、俺がおまえのこと一番はじめに考える。俺がお前にいろんなものをあげたいって守ってやりたいって思ったんだ。」
『……っ…』
「俺は、真希が好きだ。もう遅いかな?」
『…わ、たしつらかった…』
「ごめん。」
『わかっていても、久実を見つめる、千隼くんを見つめるのはすごく、つらかった。

でもね、千隼くんを諦めるほうがもっとつらかったの。忘れること、まだ、出来て、なくて。だから!』



想いがたくさん沢山心で溢れそうに暴れている。何から伝えれば良いかも、わからないほど…


『だから…千隼くん…好き。』
「…真希」
『めんどうくさくてごめんね。諦め悪くてごめんね。泣いてばかりでごめんね。』
「泣かせてごめん。…好きだよ真希俺と付き合ってください。」
『っ…はい、よろしく、お願いします!』


嬉しいの気持ち分千隼くんに抱きついて、そのぶん抱き締めてもらった。
本当に好きな人から愛されるってとても素敵なことなんだ。
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