練馬の大根デパート!




「光が丘に居ないなら急いで他を探そうぜ?グズグズしてるとヴァンデモンの奴らに先を越されちゃうよ。」
「でも、ちょっとどこかに遊びに行っているだけかもしれないじゃない。」


太一さんとミミさんがそう話すと光子郎くんが「それはないと思います。」と否定した。

『どうして?』
「僕たちのもう1つの共通点」
「光が丘から引っ越した?」
「えぇ。それが偶然でないなら9人目もやはり引っ越したと考えるべきです。」
「じゃ、9人目もお台場に?」
「その可能性が高いでしょうね。」


ミミさんの「お家に帰りたい!」という意見もありとりあえずお台場へ向かうべく駅に来たわたしたち。


丈さんは地下鉄線案内図をみて1番早く着くものを探しているようだけど…

「いっぱいあってわかんない!」
『わたしも…いつもお母さんに連れられて乗ってたから1人で乗ったこともないし…。』
「コレなんの絵?」
『チョコモン、これは絵じゃなくて、路線図っていって電車が通る道の地図みたいなものだよ?』
「?」

あまり納得出来てないチョコモンとグミモンにわたしも苦笑する。


そんななか光子郎くんがパソコンで1番早く着けるルートを探してくれた。


「ここから都営12号線で中野坂上まで行って、そこから丸ノ内線と銀座線を乗り継いで新橋にでて、ゆりかもめでお台場に行くルートですね。」
『わぁすごい…何言ってるかよくわかんない。』
「なんか呪文みたいだね…」
『うん…』

わたし当分1人で電車乗れる勇気ないかも…

切符を買い、デジモンのみんなに再度動いたり話したりしちゃダメだと注意しホームへ移動した。
そこでコロモンとツノモンが電車を敵だと思って路線に飛び出してしまうというハプニングがあったがなんとか目的の電車に乗ることが出来た。


運よくみんな座ることが出来たが泣いてる赤ちゃんを抱いたお母さんがいて大変そうだと空さんが席を譲っていた。

赤ちゃんは目の前にいた、ぬいぐるみのフリをしたピョコモンの触覚を掴みひっぱり出してしまい、お母さんが離そうとしたが赤ちゃんは怒ったように更に強くひっぱり出した。

わたしたち一同、ハラハラとその場面を見つめていたら、痛さの限界だったピョコモンが「いったーい!引っ張らないで!」と声を上げた。

いきなりのことに車内はシンッと静まり誰も声を出さない。もちろんわたしもどうしていいのか考えるのにいっぱいいっぱいで声が出せない。

1人の男の子が「あのぬいぐるみ喋った!」と指を指した。


「…い、痛かったのー?それはかわいそうだったね、よしよし!」


空さんはピョコモンに何か呟いたあとピョコモンの口元を手で隠し会話を始めた。


「でもね、赤ちゃんはピョコモンのこと大好きなんだよ!」
「ほんと?」
「ほんとだよ!だから許してあげようね!」
「うん!大声出してごめんね?」

赤ちゃんは笑っていて、他の乗客の人は腹話術だと思ってくれたようで危機は免れたようでみんなホッと胸をなでおろした。…が、今度はそのぬいぐるみが欲しいと言い出し、そのぬいぐるみはどこで売ってるのかと空さんは聞かれる羽目に。

ピンポン
[練馬、練馬です。お出口は右側です。]

「えっと…ね…練馬の大根デパート!!」
「あ、そう!ありがとう!」

乗客の人はみな練馬で降りて車内はわたしたちだけとなった。


一斉にため息をついた。

「危なかった…」
「一時はどうなることかと思ったぜ…」
「練馬の大根デパートってなに?」
「知らない。」
「疲れたー」
「ホッとしたら眠くなってきちゃった…」
「そうだな」

眠くなったのはみんな一緒のようでウトウトとし始めた。

「ねぇ、ボクたちどこで降りるんだっけ?」
「中野…坂上です…」
『なかの…さかうえ…』

そう呟いたのを最後に思考がストップしたように眠りについた。



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