『最近暑いのか寒いのかわかんないね』
マフラーに顔を埋めながら、僕の彼女兼幼馴染みは言った。
「そうだね、昨日は暑かったのに今日寒いからね」
『征十郎も寒いと思ってるの?』
「お前は僕をなんだと思っているんだ」
『征十郎は完璧すぎる完璧人間だからてっきり寒さも感じないかと………。いたっ!!』
ペシンと言う音と共に目の前にいるこいつをひっぱたいてやった。
「僕だって寒いときは寒い」
『や、そうなんだけどさ……』
「なんだ」
『今も寒い?』
「そうだね」
ふふふ、と笑いながら彼女は笑っている。そんなささいなことでも頬が緩んでしまうくらいには、僕は彼女が好きなようだ。
『えいっ』
「!」
『ほんとだ!手、冷たい』
いたずらっぽい笑みを浮かべたかと思えば、彼女はガバッと腕に抱きついてきた。手を取って、僕の体温を確かめるようにギュっと手を握ってくる。
不覚にもドキッとしてしまったのは秘密にしておこう。
「……今は暖かいよ」
なるべく平静を装いながら言葉を紡ぐと、目をぱちぱちとさせてキョトンとしている。
仕方ない、少し抜けてるこいつには全部言わないと伝わらないだろうから。
「お前が手を握ってそばにいてくれるからね」
彼女は、少し恥ずかしそうにしながらも満面の笑みを浮かべ、僕の腕にギュッと頬を寄せた。
ふたりならどんなに寒い日でも
ほら、こんなに暖かい。
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