SS 
 
 



 威厳のある子に育って欲しいと、母親は言った。

 残念ながら、生まれ持った性質はそう簡単には変わらない。



「どーせ俺なんか、」

あの子に好かれる訳が無い。いつも心の片隅には小心者の自分が居て。踏み出せない、その一歩が踏み出せない。

「こんなんじゃ駄目だろ俺………」

わかっていても身体は動かない、そんなもので。
初めは影で見ているだけで良かった。幸せそうに笑う彼女をみたらそれだけで十分だった。声を掛ける勇気など自分の中には何処にもなくて、自分なんか居なくても幸せなら良いじゃないかと逃げて。


ーそう、あの瞬間を見るまでは。


彼女が転けた、それだけのことなんだけど。俺はこの瞬間を待っていたのかも知れない、聞こえが悪いかも知れないけど彼女が少しでも不幸に見える瞬間を。

ー俗に言う、声を掛けるきっかけを。

近寄って手を差し伸べる。ずっと見ていたことなんて知らないであろう彼女に。

「大丈夫か?」




へっぽこヒーロー!

(こんな頼りない俺でも、君のヒーローになってみせる。)




身内企画のキャラから。


title by Fa


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