悠遠の物語


これは現在の仕事屋たちの親たちの物語。
泉北(不死を望むとある研究者で有権者)、衛藤(亂呶の父親であり研究者)、住之江(溟と渡貫の父親であり泉北と井谷の旧友)、下忍(泉北の実験協力者であり風音と志庵の父親。志庵は実験材料として泉北に提供した。)


(14年前)
「待て!……泉北、お前が今何をしているのかわかっているのか?」
「嗚呼わかっているとも、何か問題でも?――衛藤。」
「住之江は、お前を信じていたんだぞ……なのにお前は……そんな、そんな計画のためにあいつの妹を…!」
「結局はお前だって使ったじゃないか、“蒼の輝石”を。」
「……!!しかし、その使い方だとお前の息子は――」
「息子?ふ、くっくっく……あいつは息子なんかじゃない、ただのモルモットだ。どうなろうと私には関係ないね。」
「しかしまだだ、まだ私が不死になるにはいくつもの犠牲が必要だ……私は下忍のように元々の力などない、ただの人間なのだからね。なぁ衛藤、この意味がわかるか……?」

泉北が妖しく嗤った瞬間、衛藤はすぐにその意味を理解してはその場を走り去った。

(亂呶……!)

愛しい息子と妻の身を案じながら家に連絡を入れれば無事を確認し、安心と同時に今の切羽詰まった状況を妻にゆっくりと話し始めた。


――ここからさらに4年前(18年前)の事だ。移動民族メイル族の一人、住之江という男は久しぶりに戻ってきた土地を懐かしそうに眺めていた。そこにやってきたのは白衣を着たかつての旧友達。しかし泉北は住之江がメイル族長だと知り、その妹が海の神に毎日祈りをささげる役目、つまりマリネストと知ると住之江の妹を連れ去り実験材料として使った。住之江は一族の全滅を防ぐためその場は悔しい思いでそれを見過ごすこととなった。――


(マリネストとはとても神聖で強い意志をもったメイル族の女性がなるものであり、マリネストは決して涙を流してはならないとされていた。その理由はただ一つ、この世に存在してはならない力を生みださないため。その力をもった物質が蒼の輝石である。この石には人の生命力を増幅させる力がある。)

 マリネストを監禁しては涙を流させ、蒼の輝石を大量生産した泉北はそれを使っては下忍と共に実験を繰り返した。そんな中2年後(16年前)に下忍は何者かによって殺害される。衛藤はそんな非道な実験はいけないとしばしば泉北をとがめていたが、時期に生まれてくる子供が死にそうになった時に心をゆすられその石の力を使って息子を生きながらせてしまった。時期にマリネストは自ら命を断ち、限られた石を使い実験を進めて居た泉北だがついには石が少なくなってきてしまい衛藤の息子から石を取り出そうと考え始めたのだ。


 息子が死んでしまう。ただそれを必死に食い止めようと妻と逃げ回った挙句、衛藤はこの後息子をとある森の奥深くに隠し囮となって殺されることとなる。(14年前)


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