あとがき
全十二話。元はといえば「フーゴ相手の男主」というリクエストで、長くても2〜3話でまとまる予定だったのが気づいたら中編になっていました。日ごろからフーゴについてもやもや考えていたこととリクエストの「夢主が現実にいないと知ってかわいそうなことになっちゃう」要素を掛け合わせたらこんなことに!妄想化学反応のすごさたるや。リアルタイムで読んでくださった方はきっと何度も「まだ続くの!?」と思われたことでしょう。私も思ってました。
以下、中編内設定の元になったフーゴの個人的妄想
いろいろ書いてますが専門的な知識は皆無な上に独断と偏見が多分に含まれるので話半分に読んでください。
フーゴというキャラクターにおいて最も特徴的なのが「突然キレる」ことと「IQ152の天才」だということ。「キレる」のに関して溜め込んだストレスをうまく発散できない性格を表しているような印象を受け、なおかつナランチャをフォークで攻撃したことから気性の荒い性格であるか両親に身体的虐待を受けているという原因が思い浮かぶ。(虐待を行う人間は被虐待経験があるという説を思い出したため)
また「両親が留置所へ来なかった」ことから不仲であるか限定的な愛情を注がれていたと妄想。被虐待児というイメージが固まる。
しかし「飛び級で大学へ通っていた」=学費は払ってもらっていたことや「裕福な家庭で育った」ことを踏まえるとフーゴ家は経済的にかなり裕福。家庭内暴力はアッパークラスより貧困〜中産層となじみがあるという完全な偏見により、両親から虐待は受けていない、あるいは身体的ではなく精神的虐待を受けているような気がしなくもなくなる。
“精神的虐待”というと分かりやすいのが“条件付きの愛”。加えてWikipedia「ギフテッド(著しく高い知能を持って生まれた人間)」のページの「実際ギフテッドを鼻にかける親も存在する」という記述で妄想が加速。前述の要素をまとめて「息子の知能を鼻にかけ『天才である・自分たちの期待に応え続ける』ことを愛情の条件としている両親」という捏造設定が完成。続いて「フーゴはそれに応え愛情を得ようとするもののどこかで軋轢が生じ次第にうまくいかなくなっていく」という話の筋ができた。
夢主は当初ギャングの一員にでもしていい子ちゃんなフーゴにちょっかいをかける役にでもしようと思ったが追加の詳細リクエストを受けてフーゴの幻覚に決定。解離性同一性障害(多重人格)の「保護者役」や「虐待を肩代わりする役」「いじめっこ」などを参考に、夢主を「安らぎを与える役・フーゴの自己愛の表れ」とし、子供を「叱責する役・フーゴの自己嫌悪の表れ」とした。子供の幻覚という存在をねじ込んだのは親に愛されたいと思っている人間が自ら両親から離れようとするとは思えないというこれまた独断と偏見による。そんなわけで「仕方なく両親の意向に逆らう理由」として幻聴を聞いてもらった。
生い立ちが明かされているわりにかなりもやもやっとしているキャラクターですよね、フーゴ。恐らくプロフィールの大部分が敵によって説明されたもので、彼自身の感情が入った語りや物語外での紹介がなかったせいなのだろうと思います。中途半端な情報だけ与えられると却って想像力が逞しくなってしまうもので、かなり盛りすぎたなあという反省点もありつつ、少しでもお楽しみいただけたらとても嬉しいです。
そんなわけでそろそろ終わります!長くなりましてすみません。
最後に一つだけ。各話タイトルはMIKAのAny Other Worldから拝借しています。話の内容に合わせてかなりずれた和訳をしたので拝借しているのかどうかちょっと微妙ですが、とにかく元ネタはその曲です。しっとりとした寂しさを抱えながらも希望に向かって一歩踏み出そうとしている優しい歌詞とメロディで、とても素敵な曲なので気になった方はぜひ聴いてみてください。
あとがきまで目を通してくださり心から感謝しています。ありがとうございました。
2013年4月28日 鳩
この連載を書くにあたってお供していただいたもの:Any Other World / MIKA
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