これはまた・・・なんてベタな。こんな展開に騙されるなんて人として皆腐ってる、別に私も慣れたし王子さまも全然余裕な表情だから別に良いけどね。味方がいるだけでこんなにも気持ちが変わるものなのね
「みょうじお前まぢねぇーわ、笹川が死んだ時に一緒に死ねば良かったじゃん」
「てかいい加減しつこいよね、また知佳泣かせて」
「知佳の家に動物の死体置いてきたんだって?気持ち悪いアンタ何なの」
動物・・・まぁ人間も動物か、教室に戻ってかけられる第一声がそれってどうなんだろう。瀬川さんの方を見てみたら私を睨んで大泣き大泣き、はーあなんて耳障りな声。それは王子さまも同じなのだろう、私にしか聞こえない声でうぜーと囁いて席に座った
皆は無視した事にあからさまに苛立った表情を見せて、それから獄寺くんが私たちの処まで来て「なんでテメェがいんだよ」とベルに向かって言った。
山本くんも睨んでる。沢田くんといい獄寺くんといい山本くんといいなんで王子さまと知り合いなのだろう?
獄寺くんの問いかけに「なまえ守るために決まってんじゃん」と答えた王子さまに不覚ながら胸が高鳴った
次の授業が終わればお昼。まだ校内案内してないし昼休みにでも王子さまを案内でもしてあげよう
昨日までのナイト
「お昼ごはんどうします?」
「オレ腹減ってねぇー」
「じゃあ校内案内でもしましょうか」
それに聞きたい事もある、席から立ち上がり教室を出た。みんな何か企んでいるのだろうかやけに厭らしい怪しい顔をして私たちの姿を見送った
「なぁなまえー、王子眠い」
「重たいですよ王子さま」
「ベルで良いっての、どっか寝れるとこねぇーの?」
「何処に行っても雲雀さんがいそうだしなぁ」
「うしし、応接室って何処?」
「へ?下の階だけど・・・傍まで行ってみましょうか」
雲雀さんの名前を出してすぐに応接室という言葉が出て正直とても驚いた。
それにしても王子さまは暗殺者。なのに何ゆえ沢田くんたちとお知り合いなのだろう?そうなると上がってくる疑問、彼らは何者?
やはり素直に聞いてみるべきか、そう決めたのに階段を下りて曲がったところで学校一の不良に会ってしまった
「エース君じゃん、」
「違う、一文字もあってない。ねぇ何で君が僕の学校にいるの?」
「そんなんオレの勝手じゃね?」
「みょうじなまえ、君は何故ここにいるの?」
「転校生を案内してました」
「ふーん、そう。ああそういえば・・・傷はもう癒えたかい?」
「・・・・・・」
そう言いながら手を伸ばし私の腕をつかんで眺めた。雲雀さんはこの学校で唯一、私の体の痣や傷を全て知っている。でも救う気なんてないのも、たまたま目の前でやられいている時しか助けてくれないのも分かってる。
「生傷が多いね、」
「オレの姫に勝手に触るとか生意気じゃね?殺すよ?」
「やるかい?僕は構わないよ・・・と思ったけど残念だね、時間だ」
雲雀さんの言葉と重なってチャイムの音が響いた
午後の授業が始まってしまう。
ベルくんはどうでも良いのだろうけど私の成績でサボるなんて論外!
手を引っ張って急いで教室に向かえば「積極的じゃね?」と言ってからかってくるし、雲雀さんは雲雀さんで「不純異性交遊なんて許さないよ」って追いかけてきて、手を離したら追いかけて来なくなったから良いものの無駄に疲れた昼休みだった
「じゃあね、ちゃんと守ってあげなよ?」
雲雀さんのそんな声が、後ろから微かに聞こえた気がした