約束をした次の日は運が良いのか悪いのか、土曜で学校がお休み。
勿論、約束どおりスクアーロさんと出かけている、そう。お出かけ真っ最中なのだ。しかしスクアーロさんは腑に落ちないらしく表情が浮かない、これじゃあ誘った意味がなくなる
「何でこうなんだぁ?」
「私、友達とかいないので久々にはっちゃけたくて」
「まぁ約束だからな、今日は付き合うぜぇ!」
「意外とノリノリですね」
人が怖い、男が怖い、それでもベルくんに頼のまれて来た人なら信用しないといけないと思うから。ああ、なんだか魔法の言葉のようだ
“好きだから信じられる”
恋なんて、好きという感覚なんて、所詮は幻。それで沢田くんも山本くんも騙されているのに結局私も同じで、何だか皮肉で可笑しくて笑ってしまう
代役王子と境界線
これが良い気分転換になってくれたら良いと思う。そう願う日に限って昔からついてないのが私の人生なのだけれど・・・、いけない、いけない。まずはネガティブになるのを止めないとな
「よーし、とりあえず映画行きましょう!」
「ラブストーリーは嫌いだぞぉ・・・」
「本当ですか?安心してください、私もですから」
「・・・で、これかぁ?!」
「何ですか。ホラーな気分なんですよ」
ボソボソと呟く彼を無理やり連れてチケットを購入し、ポップコーンとジュースとお菓子を買って席に座った。隣のスクアーロさんは非常にダルそうにしている
それから間も無く映画の上映が始まり、辺りはカップルたちのハート飛び交うピンクなオーラに包まれた。でも周りにいるカップルのように私とスクアーロさんは恋人でも何でもない、それだけに切なさが増した。きっと隣に座る彼も同じだろう
「んー・・・まぁ、普通でしたね」
「あのぐれぇの血なら見慣れてるしなぁ、」
映画の感想はお互い酷く冷めたものだった、しかし本当にその程度のレベル。なのに周りから聞こえてくるのは「怖かったぁ」なんてうざったい女の声。いや、そう思ってしまうのは好きな人といられる彼女らをただ僻んでいるだけだ
「次はプリクラとりたいです」
「じゃあ、出た角を左に曲がって・・・」
「クレープも食べたい。下らない話しながらお昼食べて、それからカラオケ行って熱唱して、食べ歩きとか、遊園地でジェットコースター何回行けるかとか・・・全然、一日じゃ足りないや」
「・・・・・・」
「今まで、そんなコト思った事なかったのに・・・ベルくんと出会って、誰かが味方として傍にいる嬉しさを知ったら、一人がとてつもなく辛くなった」
なのにスクアーロさんの目は同情と“あきらめろ”の言葉で染まっていて、その目を見るたびに現実を突きつけられるようで涙が出そうになるのが現状。
分かってる、叶わぬ恋なのは自分で一番気がついている
だって、きっと全てが嘘
「もう裏切られるのは嫌なんです、教えて下さい。貴方たちの目的は何なの?」