王子様、 | ナノ



もう朝なのだろうか、眩しい。

目が覚めたら自分の部屋の天井が一番に見えた。体を起こそうと力を入れたが痛みで力さえ入れられない。と言うか何故私は自分の家にいるんだ?自分の足で帰ってきた覚えなどない、もしかしてベルくんが―――


「大丈夫かぁ?」

「ひっ・・・だ、誰・・・?」

「ベルに頼まれて来た、S・スクアーロだ」


見知らぬ男の声に、存在に、体がビクンと反応し恐怖を私に示した。自然と体がガタガタと震えてしまう。ベルくんの知人と名乗られても怖いんだ、男という生き物が怖い


「そ、でしたか・・・助けて、くれて、ありがとう・・・ござい、ました」

「落ち着けえ!オレは何もしねぇぞぉ、会ったばかりで信用ねぇだろぉが安心しろ」

「そんなの、無理・・・に、決まってるじゃ、ないですか」


そう虚ろな目で、それでもしっかり彼を見つめて呟けば彼は困ったように眉を寄せて「助けに行くのが遅くなって悪かったな」と言って部屋を出て行った




銀髪長髪代役王子




今日はもう学校を休もう。そう決めたのは時計の針が1:12をさしている時だった。昨日は暴力をふられた後、目が覚めなかったようで気が付いたら、もう次の日、今日だった

少しは自由がきくようになった体を動かしてリビングに行けば、トーストの匂いで私のお腹がぐぅっとなった。あ。そう思う頃には遅かったようで、スクアーロさんが「腹減ってんだろ」と言ってコップにミルクを注いでいた。家に無いはずの高そうなミルク、わざわざ用意したのだろうか

「・・・いただき、ます」

ぎこちなく呟いてから彼の用意してくれた昼食を口に運んで、噛み締めて、ゴクリと喉を通して空腹を満たしていった。美味しい、そう素直に思ったけれど今の私にそんな言葉を発せるだけの余裕はなかった


「・・・ひっ、く・・・ふ、ぅ・・・怖かった、怖かったよぉ・・・」

「あぁ、」


スクアーロさんは軽く相槌を打つ程度でほかには何も言わず、ただ私をじっと見つめて、手を差し出しては引き戻し、私の泣き声をきいていてくれた






「すみません・・・思わず泣いてしまって」

「いや、気にしてねぇぞぉ。ベルには黙っておくかぁ?」

「・・・はい、言わないで下さい」


もう迷惑はかけたくないので。そう、付け足せばスクアーロさんは何とも言えぬ表情で私を見た。なんだ?私の発言に何か問題があっただろうか?不安で私の表情は歪む
しかし、それに気が付いたのかスクアーロさんは何事も無かったかのように笑顔に戻って「一つだけ我が侭聞いてやるぞぉ」なんて言い出した。

よくわからないが、それは紛れも無い同情の目だ。それでも我が侭を聞いてくれるなら嬉しいに越したことはない。私の今の願いは一つ


「明日、出かけたいです」


そう言えば意外だったのか、スクアーロさんの顔は一瞬きょとんとしていた




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