みじかいはなし | ナノ



今日は久々にベルが家に来る日で、朝からずっとドキドキしていたのに3時を過ぎても玄関の呼び鈴は鳴らないままだった。
いつもの事だからとテレビを見て時間を潰していても不安は募るばかり。もしかして、約束忘れちゃったのかなぁ・・・、私はベルの事何もしらないから、側に居ないと不安で不安で、ついつい嫌な事を考えてしまう


「いつになったら来るのよ」


折角一緒に食べようと思って作ったお昼ご飯もすっかり冷えてしまった。

私は一人ぼっちのまま、時間だけが経っていき、もうすぐ短い針は7時を指す。そしたらもう諦て、ご飯も全部片付けて明日からの仕事の為にもう寝よう。来ないなんて許さない。どうしてメールしても返事くれないのよ


「ベルの馬鹿」

「なに泣いてんだよ」

「べ、べッ・・・」


部屋の隅で膝を抱えて体育座りしていた私の頭をベルはそっと撫でると、テーブルに置いてあるラザニアをフォークで一刺しして自分の口に入れた。行き成り何処からとも無く現れたベルに私は驚きながら荒声を上げる。これじゃあ暗殺者失格だわ


「遅い!ずっと待ってた」

「これ作ったの?うめーじゃん」


話を摩り替えられた事に少しピキッとしたけれどベルに美味しいなんて言われて笑顔を向けられちゃぁ怒る事なんて出来なくなる。そう考えると自分は相当扱いやすい女なんじゃないだろうか


「で、出来立ての方が美味しかったんだから」

「ごめんな?任務はいっちゃって」

「うん・・・分かる。血のにおいがするから」


いつもいつもベルは血の匂いと一緒に私のところへやってくる。最近では慣れてそれがベルの匂いのような気もしてきた。まぁ嫌いな匂いじゃないけど、嫌いだったら暗殺者なんてやってない。
手を伸ばしてベルの首元に抱きついた、血の匂いに隠れていた彼の本当の匂いが鼻をくすぐる。心がほっと落ち着く匂い、好き、ベルが好き。ベルは余程お腹が空いているらしくバクバクとご飯を次々にたいらげてくれる、作った私としてはとても嬉しい。

それから夜になって2人はベットで眠る。互いを深く求め合いながら愛なんて言う見えない幻に生きた人の体温を求めて眠るの




いい夢をみてね



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