みじかいはなし | ナノ



「ぎぃやぁぁぁぁぁ!!!!!」

「ぅお待ちくだされぇ!なまえどぬぉぉぉ!!!」

「あーあ、何やってんだか」

「佐助の馬鹿ぁ!見てないで助けてよ!」

「佐助、」

「・・・ごめんね?なまえちゃん」

「う、裏切り者ぉぉ!!!」

「まぁ、自業自得でしょ」


今日も城内にけたたましく轟くはなまえの悲鳴、幸村から逃れるための鬼ごっこは今日で三日目を迎えた。何故こんな事になっているのか・・・、絶対に誰も来ないと思っていた地下室で新しい薬を研究していたはずなのに・・・。

遡る事三日前


「なまえ殿、この甘い香りはなんでござろうか!む、これか!」

「な、なんで此処に!あ、それ飲んじゃ駄目!」


この馬鹿こと幸村は、甘い匂いを辿り堂々と無断で地下室に入ってきたのだ。どんだけ甘いものに敏感なんだよ!そして私が止める間も無く一気に作り途中の薬を飲み干した。得体の知れないものを飲み干すなんて一体頭の中どうなってるんだ


「なまえ殿・・・某、胸が苦しいでござる」

「だから言ったのに馬鹿。えーと、鎮静剤どこだっけなぁ」


棚の引き出しを漁り薬を探していると、すぐ後ろに感じる荒い息づかい。思わず振り返ると、熱帯びた幸村が息苦しそうに私に向けて両手を伸ばしていた。「辛いでしょ、薬出すから座っててよ」と彼の身体を支え座らせようとしたその時。幸村は私の着物の隙間から胸に向かい手を入れ弄ったのだ。
なんとか蹴りをくらわせ逃げられたから良いものの、厄介な事に薬の効果が切れないらしく三日もたったのにまだ追われているのだ。

ま、結局のところ元凶は私なのだが。
この薬は惚れ薬と言うか、媚薬と言うか。それらを掛け合わせた様なもので、本当は冗談半分で佐助に使おうと思っていたもの。幸村が飲んだのは予定外だったが、初めての試みで出来てるかどうか心配だったし、実験体になってくれたのは有難い。いや寧ろ佐助に使わなくて本当に良かった!恐ろしい事になっていた気がするし!

にしても困ったなあ、三日も追われている為疲労も半端じゃ無い。その上、気がつけば私の前に現れるので夜もろくに眠ることすら出来ないのだ


「なまえ殿ぉぉぉぉ!!!!」

「ひぃぎゃぁぁぁぁ!!!!」

此処数日の事を振り返っていれば、いつの間に居場所がバレたのやら。幸村が此方に走ってくるではないか。このままじゃ絶対幸村に追いつかれる!必死に逃げるも流石に息が上がり、通りかかった蔵に置かれていた木箱の中に隠れた。肩で息をしながら声を押し殺し、バレない様に静かに呼吸を整える


「はぁ、眠い」


力を抜いて壁によりかかれば、ガクッと力が抜け落ちる。嗚呼、いっそこのまま眠ってしまおうか。そんな甘い事を考えていれば、ガタッガタンッ。倉の戸が開かれる音がした。その瞬間に心拍数は跳ね上がる。

ギシッ、ギシッ、ギシッ

ゆっくりと確実に足音が近づき、ピタッとなまえの隠れる木箱の前で止まった。そして、ギイイッと古びた音を立てて木箱が開けられる、ただただ感じるのは絶望。震えながらも見上げれば、ニッコリと笑い手を伸ばす幸村がいた


「見つけましたぞ、なまえ殿。さぁ・・・某と、一つに!」

「あ・・・あ・・・」

「嬉しくて声も出せませぬか、嬉しいでござる。この幸村、全力でなまえ殿を!!」

「触んな変態ッ!!」


とりあえず胸を強く押すが男女の差、敵う訳が無く簡単に腕を掴まれてしまった。やばい、これはガチの貞操の危機。


「や、やだ・・・やだやだやだ!!」

「むぅ・・・わかったでござる」


必死に対抗すれば幸村は私を持ち上げ蔵を出た。長い廊下を進み何処に連れて行かれるのかと思えば、そこは幸村の部屋で。


「此処ならよいでござろう!」

「違う!違う!分かってない!!場所の問題じゃない!!」

「はぁ、・・・少し黙れ」

「むぐッ」

口に布を突っ込まれ驚きで目を見開くなまえを気にする事無く、幸村は馬乗りになって左手でなまえの両手を押さえつけ、右手で着物を解いていく。なまえは全力で身じろぐが幸村の力の前にそれは無意味でしかない。中途半端に脱がさた着物から露になったなまえの上半身の膨らみに幸村は吸い付く


「っんくぅ!」

「可愛いな、なまえ」

「ひね!へんはい!」

「何か言ったか?」


誰だよこの人。こんなの幸村じゃない!どうしたらこんなに真っ黒になれるのよ!怖い。でも佐助は絶対助けに来ないよな。私このまま、犯されちゃうの?ぐるぐると考える私の脳を黙らせるように、幸村の舌が私の一番敏感な乳房の突起に触れる。ビクリ、身体が嫌でも反応してしまう


「感じてるんだな」

「んーっ、んーっ!」

「声を聞かせろ」


私の口に納まっていた布を取り、幸村は自分の唇を私の唇に強く押し当てた。そして空気を吸うのに必死な口の隙間から舌に吸い付く。その間にも手は休まらず、私の弱い部分で遊んでいる。ぷはっ、と互いの口が離れると、また乳房に顔を落とし吸ったり甘噛みしたりと執拗に突起を責められた。その度に身体は震え、ジンジンと子宮の奥が疼いて更なる快楽を求めるのだ


「なんて物欲しそうな顔をしてる、他の男にもそんな顔を見せるのか?」

「ち、ちが、そんなこと、ふっ、んぅ!あーっ、そこ駄目ッ」


幸村の逞しい腕がするすると太ももを這ってなまえの秘部にたどり着いた。じんじんと熱を帯びているそこを優しく擦り、幸村の視線がなまえへと注がれる。静かな指の振動に、もどかしさと切なさを与えられ、だが自分から求めるなんて絶対にしなくないなまえは、イきたくてもイけないギリギリのそれに耐えるしか無かった。まるで三日も我慢させたお仕置きのような、意地の悪い指使い・・・。それを察したなまえは思わず幸村を睨んだ


「む、何故睨まれる?どうして欲しいのか言ってくださればお答え致しますぞ」

「意地悪・・・」

「まだまだ仕置きはこれからにございまする」


私の濡れ具合を見て余裕が出て来たのか、口調はいつもの幸村に戻っていて。でもそれが寧ろ怖くて。


「ひぐっ・・・ひぐっ・・・ぅうっ」

「何故、泣かれるのだ」

「だって、こんなの嫌なんだもん」

「・・・、・・・もう良い」


そうポソリと呟くと、幸村は起き上がりなまえの着物を軽く直して部屋を出て行こうとした。急な行動の変化に戸惑いながらなまえは幸村を呼び止める


「なんで、止めたの?」

「泣くほど嫌がったのはなまえ殿でござる。はっ!それともそういう演技だったのでござろうか!」


幸村の言葉に腹立ち眉を寄せて軽く睨めば、全く気にしない様子で明後日を向いて呆れ溜息をつく。溜息をつかれる理由が分からないんだけど

「某の事が嫌いなのでございましょう」

「嫌いなんて言ってないでしょ!好きだよ」

「ならば何ゆえ逃げるんだ」

「だって薬で好きって言われても嬉しくないもん」


幸村は少し驚いた様で一瞬目を見開くが、直ぐに嬉しそうな顔で笑いなまえの元に歩み寄った。それから耳元で「なまえが好きだから犯したい」息を吹きかけるように囁く。私は耳が弱いから、これは狡い


「はぁ・・・だから薬のせいでそう思ってるだけよ。もうすぐ効力だって切れるんだから」

「とっくに切れておる」

「は?」

「飲んだ直後が少々キツかったが、それも抜いて治まった」

「え。じゃぁ・・・」

「薬のせいで無ければ、問題なかろう?」


ニヤリと笑った幸村の顔はまるで悪魔の様で。言ってしまった手前引けない私は幸村なら良いか、と頭を切り替えるしかなくて。私の元に戻って来た幸村の指は先ほどとは違う、しっかりと私の望む場所を刺激してくれて。
ああもうこれは敵いません、と。それから幸村と交わるまでさほど時間はかからなかった。

果てて布団で眠る二人を見つけた佐助は、やっと落ち着いてくれた主人の姿に安堵のため息を漏らした。



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