みじかいはなし | ナノ



目を開いても黒と赤しか無いのであれば、こんな瞳は要らないと私は自分で目を切った。そして視界は黒一色、日が経つ事に腐敗して落ちていく肉、もうこの痛みはだいぶ慣れてしまった

血を血で洗うこんな時代に生まれた私に生きていける力など無い。もう疲れたから、落とす決めた命だったのに貴方に救われてしまった


「某が、某が必ず助けるが故!どうか、どうか死なないで下され」


誰だか何てこの潰れた目では分からないけど、芯の通った力強い声が、私を抱き起こす腕の力が何故だか安心感を与える。けれど傷口が全てを忘れさせるように酷く痛み、我慢の限界を超えて私は気を失った


この世界で生きる、理由を下さい
例えばそれは、恋でも良い


「ぉお!気づかれたか!」

「何で、助けて・・・くれた、の?」

「人を助けるのに理由が必要にござるか?」


高鳴る胸は貴方のせい。姿も顔も誰かも分からないけど、触れた手の温かさに私は見えない目に涙を流した



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