みじかいはなし | ナノ



これは唯の気まぐれだから、そこに愛情があるなんて馬鹿な考えをすれば苦しむのは私。そんなこと分かっていたはずなのに

私は貴方に拾われた。
その時、貴方が何を思って拾ったかなんて私には分からないけれど。それでも貴方に感謝した。知らない世界、たった一人ぼっちの私。だからこそ、簡単に信じてしまった。私は本当に無垢な子供で


「卿に行く場所は無いのであろう?ならば付いて来ると良い」


此処は唯の農村だった。人々は田畑を耕し、ひっそりと静かに暮らしていた。なのに、その生活を一転させたのは他でもないこの男。松永久秀だった

私には理解できない。何故、人を殺めるのか、どうしてそうも簡単に殺せるのか。けれど、そんな事を聞いたりなんてしない。そんな質問は、この世界ではくだらない事だから、私が知ったところでどうにもならない。無意味、と言うものだ。私は貴方に拾われた。だから行き着く先がたとえ地獄でも、もう後には引き返せない。貴方の言葉に足を進める私が此処にいるから


「残念だが、人はそんなに優しくはない。卿はそれを知らぬのだ・・・」


私は穢れなど全く知らぬ、無知な子供だった。
壊されて、正常には動けない
弄られて、感覚が狂っていく

貴方の虚無的な考え方が好きになり始めた


「屍は残さない・・・そう、決めている、のだよ・・・」


でも、それじゃ貴方を思えない。失った先に、何も残らないのは悲しいじゃない。でも、それは私がそう思っているだけ貴方はそんな事、思わない。だったら私は貴方を追う。貴方を求め、地の果てだって付いていく


「久秀・・・様、」

「卿は、誠に・・・、可笑しな女・・・、だ・・・」


目を閉じて、一体何が見えますか?この世に未練はありませんか?己の胸に突き立てるは貴方の刀。後追い。私も貴方と、同じ夢が見たい



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