みじかいはなし | ナノ



いつものメンバーで昼休みにご飯を食べて、適当な話題で盛り上がるそんな空気の中。恋バナ大好き前田慶次がいつもの調子で佐助に聞いた一言


「で、どこに惚れて付き合ってんだい?」


聞き様によっては大変失礼な質問だが私も疑問に思っていたこと。どんなに可愛い子や性格のいい子に告白されても見向きもしない佐助が、何故どこにでもいるレベルの顔に、使い物にならない脳みそを持ち合わせた私を選んだのか


「んー、俺様ただの人間に興味ないんだよねー」

「なんだそれ」


理解不能な発言に対し反応に困る。て事は貴方と付き合っている私は普通ではないと?もう一度言わせてくれ、なんだそれ。可愛いと噂される電波っ子になりたいと思う時点で私は至ってノーマル人間だってのに
それにこのクラスは普通じゃない人間だらけじゃないか、キャラが濃いというか独特さがあると言うか、その中であえて私とか佐助の目は節穴なんじゃないか?あ、自分で言ってて涙出てきた


「それに可愛いし」


やっぱり佐助の目は節穴なのか。まぁ可愛くないって言ったら言ったでぶっ殺すけど。しかしその余裕は佐助の言葉に難しい顔をしていた幸村の「割と普通でござる」という一言に消された。だって私が普通だったら振られるかもって事なんでしょう?そんなの冗談じゃない!
会話は気が付けば幸村の話に変わっていて、先ほどの会話に対しあくまで無関心な表情を保つが内心それどころじゃかった。まぁ振られるなら振られるで良いかなーっと言う気もするけど、今は好きだから離れたくなんかないし


「慶次ぃ・・・私のーまる人間だよ・・・」


授業が始まってから隣でうとうとしてる慶次に声をかければバッとこっちを見て会話してくれる。佐助だったら授業に集中しろって怒るだろーに。まぁそんな所もが彼の良いところだったり


「んー?なんだ、さっきの話気にしてんのか?」

「当たり前じゃんか。だいたい彼氏の発言を気にしない彼女なんているの?」

「俺の元カノとか」

「そうなのか!知らなかった」


慶次の恋は常に甘くてベタベタ幸せいっぱいって感じだったのが強くイメージにあったせいか、さっぱりした彼女と言うのがあまりイメージ出来なかった。私の恋愛の経験が少ないというのも理由の一つなんだろうけど


「人ってさ、自分に無いものを求めるものだろ?」

「んー、まぁ確かにそうかも」

「だから佐助の言葉は自分にあるものを持ってる人間に、興味ないって意味なんじゃないのかねぇ?」

「だと良いけど」


きっと佐助は違う。そんなありがちな考えなんかしない奴だってのは付き合ってから嫌という程わかってきたつもりだから。とりあえずアイツは考え方が普通じゃない!
そんな話をしていれば授業終了のチャイムがなって瞬間、背中に重みがかかった


「わっ・・・佐助っ」

「なーに怖い顔してーんの?」

「なんでもないよ」


面倒くさい女はありがちだから私は何も言ったりしない。ただ笑顔でひたすら彼を愛す、いや私の態度じゃ愛すら見え隠れして分からないだろうから時々そっと呟くの


「好きだよ、佐助」

「俺様も、なまえちゃんが好き」


どうか、彼の目に映る私が異端者であり続けますように



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