みじかいはなし | ナノ



はっきり言わせてもらおう、気持ち悪いぞアイツ。ふと授業中に悪寒を感じ窓の方を見てみればなまえを愛しそうに見つめて(謙信様の授業だと言うのに!許せない...!)なまえが教科書を忘れたと私を頼れば天井から教科書が降ってきて。それに対してなまえは「あれ?不思議だねー」って、明らかにこれを落としたのは猿飛だろ!教科書にもしっかり記名してるじゃないか。それからもう一つ言いたい事がある。

「なまえちゃーん!お昼たべよ」

「うん!かすがも行こー」

「あぁ、じゃあ屋上に行くぞ」

毎日毎日疑問に思っていたのだがなまえは何故、昼食に私を誘う?昼時も2人で仲良く会話しながら食べればいいものを、これじゃあ私はただの邪魔者じゃないか。猿飛の奴も毎度の如く私を睨んでるしな、だが己の膝の上になまえを乗せて睨まれても反応に困る。

「佐助、重いでしょ?おろして?」

「んー重くないよ、それに俺様なんだかとっても寒いんだよね、」

私のせいだと言いたいのか!何だその薄い目は!ならば目の前でイチャコラを見せ付けられている私の方がよっぽど心が寒いぞ。はあ・・・謙信様、かすがは心が折れそうです。




行く当てもなく廊下を彷徨っていれば視界にはいった隣のクラスの女子、一応Friend(向こうがどう思ってるかはしらねぇが)の彼女であると言う事もあってお互いに軽い面識はあった。だが話はした事がない。一見控え目で小動物みたいな奴だがアイツを、猿飛を惚れさせた要素は何なんだろーな?猿飛に聞いても教えてくれねぇーし。

「Ya,」

「あ、こんにちは」

軽い挨拶がてら声をかければ彼女はペコリと頭を下げてきて少し話でもしてみようかよ思った直後、鋭い殺気を感じ「あ、佐助」と言う彼女の声。いくら付き合ってるからって異常じゃねぇか?なんだってそんな。

「竜の旦那、とりあえずその手どかそうか」

「Ah?sorry.つい癖でな」

猿飛は酷く冷たい顔で笑いながら、オレが無意識に彼女の肩に置いていた手をギリリと握りつぶさんばかりの力で強く掴んで振り払った。今の痣になっても可笑しくねぇぞ。

「佐助、お掃除当番じゃないの?」

「なんか悪い予感したからさ抜けて来ちゃった」

いや嘘だろ、さっき猿飛に用があって教室覗いたが初めから居なかったじゃねぇか。けど流石に今それは言えねぇな、っと、ああそうだ。

「頼まれてたCD持ってきてやったぜ?」

「ありがとねー、じゃあなまえちゃん教室いこうか」

「うん、あ、伊達くん!さよなら」

猿飛はそのまま彼女の肩を抱いて行ったが、おい、彼女がオレにさよなら言ったぐらいで何で猿飛は睨むんだよ、Ha,知らなかったぜ猿飛も恋すると壊れるんだな、てか猿飛があのバンドのCD聴くなんて意外だな、もしやこれも彼女の影響力か?




偶然にも見てしまった事を酷く後悔した。

謙信様と放課後にお話をしていて遅くなってしまい、早く帰ろうと教室に荷物を取りに行けば、まだ残っているらしい猿飛の鞄から何かが出ていて。気になって開けてみればなまえを盗撮した写真集から始まり、おとといの昼食でなまえが食べたゆで卵のカラが綺麗に保管されてあり、それから見知らぬ男子からなまえ宛に書かれたラブレターが数枚はいっていた。まあモテるからな、なまえは。

「それにしても酷いな、」

思わずそう口にし、なまえにはもっと警戒心を持つべきだと言おうと決めて、教室を出て階段を下りて下駄箱につけばなまえの下駄箱で何かしてる猿飛。奴は部活終わりと見えてまだ部活着のままだった。鞄の中を見てしまった事もあり大きな警戒心。一体何をしているんだ?と、思い気づかれぬよう得意の忍び足で寄ってみれば。

「何してるんだ貴様」

「あれ?かすがまだ残ってたんだ」

いつもの軽いノリな猿飛があんな事をしていたのかと思うと世間が何時も以上に怖いものに思えた。良く見れば猿飛の手にはなまえの上履きが、何故か二足。なまえは二足も上履き持っていたか?考えているうちに1つの答えが出てきてしまった。

「なーに怖い顔してんのさ、これは俺様が持ってきた奴」

「何で猿飛が持ってくる必要があるんだ」

「だってさ、なまえちゃんの使った上履き欲しいし?」

とりあえずなまえの健全を死守するためにコイツを殺しておこうか真剣に悩んでしまった。ああ先が思いやられる、なんだってなまえはこんな奴と付き合ってるんだ。私が許せなくなってきたぞ。




佐助は私の素敵な彼氏です。勉強も運動も料理もできて、なのに皆は時々白い目で佐助の事を見る。私にはその理由が分からないけれど私は佐助が好きだし、佐助も私を好きだと言ってくれるからそれで良いの。

「なまえちゃん、帰ろっか」

「うん。あ、この前の怪我かさぶたになってる!」

「あー、本当だ」

「それ欲しいなー、頂戴?」

「ん、どーぞ」

佐助の全部を常に見ていたいと、知っていたいと思ってしまうのは好きなんだから当然でしょう?それに佐助も喜んでくれる。やった、瘡蓋もらっちゃった。スクラップ帳に張っておかなきゃね。



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From.ゆゆこ



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