言ってしまえば私は無駄な事をするのが大好きで、だからハロウィンの仮装に1万もかけられるんだと思う。けどナめないで欲しいのが私のお小遣いは毎月5000円だと言う事、この魔女の仮装のために2か月分のお小遣いを叩いたんだ。バイトなんてしてないから、今月もうお金ありません。
「だから金よこせ」
「いきなり現れて無礼な奴め」
「あ、ごめん。内部事情的な問題で発言ミス!」
「散れ」
「いや、まだお菓子貰ってないし」
恥ずかしさを捨てて魔女の格好で元就の家にお菓子貰いに来たのは良いものの、会って早々血管ぶち切れ寸前の彼をどうにかして下さい。魔女っ子な私よりも怖い顔で睨んでくるんですけど。負けるな私!いざと言う時は魔法のステッキでボキッ
「のおおおお!!!」
「一々騒ぐでない、近所迷惑だ」
確かに近所迷惑だ、だが元凶は元就じゃないか!だけど此処で理性を失ったら負け、だってそれじゃあ悪の魔王である元就の思う壺じゃないか!ゲフン、それでは気をとりなおして。
「Trick or treat! 」
「矢張り馬鹿か?此処は日本ぞ」
此処が日本な事なんてとっくの昔に知ってるんですが、てか玄関にさりげなく装飾されたかぼちゃが置いてある家に住んでる人にそんなコト言われたくないんですが!けれど彼にまともに言い返しても負けるだけ!負ける前にダークオーラに飲み込まれる!ぬぅ、とりあえずスルーして対抗しないと。
「お菓子くれなきゃ悪戯するぞ!」
「フン、出来るものならやって見せよ」
「元就のおねしょ写真ばら撒くか」
「訴えられたいのか?」
「とりあえずお邪魔しまーす」
お菓子を貰うまで帰るつもりは無いし、これ以上この格好で外に居るのは恥ずかしかったので部屋に上がりこみ(コレに対しては元就は特に何も言わなかった)元就の部屋の中をぐるぐるして悪戯できそうな事はないかと探したが、このチンケな脳みそじゃあマジギレされるような事しか思い浮かばずに唸っていれば「おい、」と背後から元就の声が。
「なんだ冷血鉄仮面」
「菓子を寄こさぬと殺すぞ」
「・・・は?いやいやいや」
「まさか我に求めるだけで貴様は持っていないなんて事はなかろう?」
いや持ってないから。私みての通りの魔女っ子なワケでこれって貰うの前提な格好なんだ、なのに誰かにあげるなんて聞いてないし。だいたい此処は日本だぞって馬鹿にした顔で笑ったの元就じゃないか!そんな奴にあげる気なんて起きないんですが。
「残念ながら仮装してない人にお菓子なんてあげられませーん」
「ほう、貴様は死にたいのか」
「ちょ、ごめんなさい。持ってないです。死にたくないです。すみません」
こう見えても元就は剣道の全国大会で一位を獲得した事もあるし、喧嘩上等な元親を暴力で黙らせる事もしょっちゅうな最重要危険人物。私みたいなペーペー魔女っ子に勝てるワケがごぜーません。すんません。
「フン、さっさと帰れ」
「へ?」
「それでは不満と申すか?」
無理やり握らされた手にはハロウィン仕様の袋に包まれた可愛らしいクッキー、一気にハロウィンらしさが増した。だけどそれを私に渡した張本人の元就は不満そうに眉を顰めている。そんな表情してるが可愛い奴め、ようは恥ずかしくてどう渡して良いか分からなかったって事なんでしょう?よーし明日お礼に和菓子をあげようじゃないか。
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あおいさまへ
フリリク企画参加ありがとうございます!
ツンデレ就さま、いいですよね。
From.ゆゆこ